暮らし術 こども大将

自己紹介がてらによく、週末は南房総で過ごしてます、という話をすると、大抵は「まぁ~パワフルですね!」と返されます。

パワフルかぁ~
わたしの実態を知っている家族からはきっと「ママがパワフル?」と失笑されますね。寝るの大好き、ソファー大好き、ぐうたらのめんどくさがり屋で「ママを頼っても無駄」がこどもたちの合言葉ですから。

多分“週末田舎暮らし”って、週末ごとにいちいち小旅行しているような印象なんでしょうね。
実際は、さほどのことはありません。疲労感は移動距離に比例しますが、緊張感とも比例します。自宅から自宅という移動については、緊張ゼロ。ゆえに、ながーい渡り廊下を渡るくらいの疲労感です。だから何年も続いているわけです。
ただ、日中シャカリキになって外で働いた日には、体は疲れます。
仕事でぐったりするのとは違う爽やかな疲労感ですが、疲れは疲れです。日がとっぷり暮れると、いや~今日も無事に終わった終わったと家に戻り、畳の上にどたりと転がって「今晩は、えーと、外食です」と宣言。夕飯の支度はパスで!と。
するとこどもたちが「ヤッターーーー!!がいしょく!がいしょく!」と叫びます。

そうかいそうかい。小躍りするほど嬉しいかい。
いつも獲れたての美味しい食材で美味しい食事つくってあげてるのに、切ないぜ。

しかしまあ、外食は主婦の味方です。
うちは家族が5人ですから、しょっちゅう外食していたら破産してしまいますが、安くて美味しくて行くのが楽しみなお店が地元にあると、正直ホッとします。

ということで、わたしが南房総で行ったことのあるお店の中でみなさんにオススメできるところを、これからぼちぼちご紹介しようと思います。

今回選んだお店には、ポイントが2つあります。
1つ目は、旅行で南房総を訪れて「ここでしか食べられない何かを!」と心も財布も気張って行くのとは違う、日常の中で使えるお店だということ。2つ目は、どこかに感動があること。
どれもわたしのとっておきのお店たちですが、まあ個人的なセレクションですので、ゆるっと読んでくださいね。

では、1軒目から。

★住吉飯店(中華)

鋸南町にある、普通の中華料理屋さんです。

東京からの行き帰りにどこかで夕食を食べようと思うと、なかなかやっているお店がなくて苦労する中、何度もこのお店に助けられています。どこの田舎もそうなのかもしれませんが、とにかく飲食店の店じまいが早いのです!観光客も困ることがあるんじゃないかな。「夜は早くおうちに帰ってね」と言われているようですから。

さて、この店のありがたいのは、営業時間がフツウに夜までなのと、夜も定食が食べられること。
ただし家族5人でばらばらなものをオーダーすると、いったん厨房にオーダーを持って入ったおばさんがまた出てきて「すいませーん、今ちょっと忙しいんで同じもんを頼んでもらえます?」と逆オーダーされることも。あはは。でも店内の混みようと、厨房の料理長の鬼気迫る雰囲気を見比べれば、板挟みのおばさんを怒る気など起きず、「じゃ、わたしも麻婆豆腐にするわ」なんてあっさり妥協。

でも、この店を訪れたら、どんなに厨房に睨まれてもぜひ一度は食べてみていただきたいメニューがあります。
それは、「もやしそば」です。

以前、それほどお腹が空いてなかった娘のポチンが「じゃあ、もやしそばでいい」とオーダーしたんですよね。そしたらコレが出てきた。

住吉飯店名物「もやしそば」。

住吉飯店名物「もやしそば」。

すごい……!!
「もやしが……もやしが……」
食べる前から、もやしの海で心が溺れて固まるポチン。
もやしがてんこ盛りにつきスープがこぼれるので、受け皿があり、さらにその受け皿もある。これは洗面器に入れた方がいいんじゃないだろうか?!

食べ始めは、食べるというより、掘るかんじです。
もやしを掘る。
掘って掘って、いつかは中から麺を掘り当ててやる!と。

でもこのもやしそば、この量ですがけっこう食べられてしまうんです。
あっさりとした味付けで、野菜の甘みがちゃんと伝わる。しゃくしゃくしゃくしゃくと食べ進め、丼にすり切り1杯程度まで減ると、ようやく「もやし炒め」から「もやしそば」へと切り替わります。(ふと、住宅ローンの返済が頭をよぎります。返しても返しても利息分で元本が減らないっていうイメージ。)
麺自体はそれほど大量ではないので、あとは落ち着いて「もやしそば」を楽しみ、気が付けば完食!満足度が高い上に、野菜量が多いのでヘルシーな1品です。

わたしは直接話したことがないのですが、厨房で腕を振るうここの料理長、実はかなりの勉強家だとのこと。飽くなき探求心を持つ一方で、「コスパよし」「見て、食べて楽しい」「客に過剰に気を遣わず地元の食卓になる」というスタンスが清々しいです。

南房総に来たら最後にここに寄り、遊び疲れてどよーんとしている同伴者をアッと驚かせて、1日を〆るのもいいかもしれません。

さて、2軒目です。

★としまや弁当(弁当屋)

お弁当は外食とは言わないだろ!という声が聞こえてきそうですけどね。

南房総ではよくあるんです。わざわざレストランに入るのではなく、気持ちのいい海や山でさくっと食べてしまいたいときが。でもコンビニおにぎりは寂しいなあ、というときが。
そこで重宝するのが、としまや弁当です。

千葉県内を車で走行していると、江戸文字の太文字の赤字で“弁当”と書かれた巨大プラカードが道端に突き刺さっているのをしばしば目撃すると思います。それが、としまや弁当のサインです。
房総エリアでは大きく展開されているチェーン店で、わたしが愛用するのは館山店。

店内は、お世辞にもウェルカムな雰囲気ではありません。
とっても活気がなくて、とってもオシャレじゃなくて、とっても殺伐としています。えーっと大丈夫かな、ここ……と一瞬ひるみますが、机の上に並んだお弁当は思いの外レパートリーがあって、美味しそう。価格帯は600~700円。「クリスタル弁当」なんていうナゾなお弁当にもそそられるなあ~

うろうろと悩んでいると、ふと目に入る1枚のポスター。

『キム○ク夫妻もサーフィンの時に買いに来て美味しいと絶賛した、名物チャーシュー弁当』。

うわ、ホント!?
いきなりテンションが上がります。だってわたしキム○ク世代ですから!キム○ク夫妻がテトラポットに座り、潮風に髪をなびかせながらチャーシュー弁当を食べる絵が頭に浮かび、店内に漂うマイナー感が一気に「穴場感」へと格上げされていきます。
いや人間、そんなもんですって。
(このポスター、今は外されてしまっているそうです!残念。)

というワケでこのお店のイチ押しは、いや別にキム○クに日和ってるんじゃないですが、コレです。

威風堂々たる「チャーシュー弁当」。

威風堂々たる「チャーシュー弁当」。

炊きたてのごはんの上に、厚切りの丸いチャーシューが何枚ものっています。(写真は1枚食べちゃったあと!)しっかりした味付けで、ごはんととてもよく合う。そしてどうでしょう、ちっちゃな副菜みたいなものはほぼ、ナシ。お漬物だけ。この潔さがたまりません。

中学生の男子みたいで申し訳ないのですが、わたしはお腹がすくと、お肉とごはんをガッツリ食べたくなります。
バランス?そんなものは1日の中で調整すればよろし。体が肉とごはんを欲してたら、それを食べるのであーる。野菜は野菜で、うちでもりもり食べるのであーる。ということで、しょぼしょぼ食べる副菜にはあまり魅力を感じないため、お弁当は幕の内弁当派ではなく、丼物派なのです。

このチャーシュー、肉の柔らかさや脂ののり具合が丁度よくて、お腹がすいている時に食べるとこたえられない美味しさです。お箸が止まらなくなります。よく、「同じ味のものばかり食べ続けていると、食べ過ぎる」というけれど、このお弁当ではその効果がてきめん。カッカッカと、すぐに食べ終わっちゃう。

南房総といえば海産物、新鮮な野菜、など素材としてはいろいろ浮かびますが、わたしはこのとしまや弁当の味は、実は南房総の味なんじゃないかなと思っています。タンパク質にしみ込んだ、甘じょっぱい、醤油味。キム○ク夫妻が食べたチャーシュー弁当は海沿いのお店のものだったそう。房総エリア全体での、母の味とも言えそうです。
書いてたら食べたくなっちゃった……

さあ、では3軒目。
今日ご紹介する最後のお店です。教えるのがもったいないお店。

★惣四郎(寿司)

勝山漁港からほど近いところにあります。外観は冴えません。
たしか数年前、東京に帰る途中にスマホで検索して見つけ、回転寿司よりマシかな、とほぼ期待せずに入ったのが最初だったと思います。

がらがらと愛想のない扉をあけると、カウンター数席、小上がりの座敷、むっつりした大将がひとり、おかみさんがひとり、というかんじでこじんまりしています。(実は裏側に大広間があるんですけどね。)この大将、ぜったい愛想悪いな、と一瞬で見て取れます。(実はおしゃべりなんですけどね。)前情報なく訪れて、お寿司が出てくるのをしんねり待っていたとしたら何となくテンションが下がってくる。出てきたらさっさと食べてさっさと帰るか……そんな雰囲気です。

しかし運ばれてきたお寿司を見た途端に、おお~っ!!と叫んで、思わず写真撮っちゃいます。

image1

全部白身。全部種類が違う。
何が何やら分からないでいると、「はいこちらです」と紙が差し出されます。

おかみさんの手書きです。

おかみさんの手書きです。

メバル?コショウダイ?ホウボウ?
うわあ、お刺身で食べたことのない魚ばかり。

ひとつひとつ、名前を確認しながら食べる楽しさよ。
「じゃあ次、マトウダイいきます!」などと宣言して、口に入れる。
……ああ美味しい。マトウダイってこんなにもっちりして甘いんだ。そうしみじみ味わいながら、マトウダイに思いを馳せる。どんな顔の魚だろう、と思わずスマホで調べたりして。「馬頭鯛」って書くんだってよ!などと、話題も広がります。

地魚10貫+アジの味噌汁+デザートで1人前1050円。
1.5人前は12貫、2人前16貫で単純にその値段を1.5倍、2倍するかんじ。写真は2人前です。
また、ランチでも夜でも同額です。わお!

それにしても、白身の魚ってひとつひとつ、こんなに味が違うんだということに驚きます。そしてこれらがすべて地魚だということも。
東京ではほぼお目にかかれない魚たちです。量が獲れないので流通されないからです。それを大将が朝、見立てて仕入れ、一番新鮮な状態でお寿司として出してくれるという次第。

初めて行ったその日からすっかりこの店を気に入ってしまっているわけですが、好きなのにはもうひとつ理由があります。
それは、大将の自慢話です。これが毎度ほぼ同じコンテンツ。
ウザいといえばウザいのかもしれない。でも、リピーターの間では「あの自慢がカワイイ」ということになっています。
内容をざっくり言うと、「わざわざ京都からやってくる人がいてね」「東京じゃあいくら出せば食べられるんだろうっていわれたりね」「こないだなんか1人で20貫食べた女の子がいてね」という話と、「あの○○の寿司は全部築地から来てる魚。みんな、ここまできて東京経由の魚を食べてるの」というちょっとdisりの入った話。だいたいそれだけ。
あまりに毎度同じフレーズなのでどんな相槌を打てばいいか戸惑うくらいなんですが、ご本人は同じ話を繰り返している自覚がないようなので、腹筋をひくひくさせながらも毎度「へ~!」と驚いてあげるのが正しい接し方だと思います。ふふふ。

……さて、今回の3軒のお店。参考になったか、ならないか。微妙ですかね!
もし南房総に来ることがあれば、ちょっと思い出してみていただければと思います。
では、またぼちぼち続編を出しますので、お楽しみに!

※本記事は、馬場未織氏の知識と経験にもとづくもので、わかりやすく丁寧なご説明を心がけておりますが、内容について東急リゾートが保証するものではございません。
※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。
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