インタビュー

軽井沢の魅力に惹かれ、ほかの土地から移住してくる人は、たくさんいらっしゃいます。たとえば、軽井沢の地場野菜の奥深さに魅了され、活動拠点をこの地に移すシェフの方など。今回ご登場いただく、フレンチレストラン「無彩庵 池田」のオーナーシェフ池田昌章さんも、そのひとり。

「軽井沢は食材が豊富で、何年いても興味が尽きない」とおっしゃる池田さんは、軽井沢在住歴12年。岡山県倉敷市に生まれ育ち、横浜や東京の名店で経験を積んだあと、単身で軽井沢に足を踏み入れたといいます。池田さんが軽井沢を拠点として選んだ理由とは?

フレンチレストラン「無彩庵 池田」の店内

フレンチレストラン「無彩庵 池田」の店内

山菜の種類の多さに興奮、魅力的な生産者との出会い

──率直に伺いますが、軽井沢を訪れたきっかけは何だったのですか?

13 年前、東京で働いていたときにテレビで“軽井沢特集”を放送しているのをたまたま見ました。番組では地元のシェフの方が、キノコや山菜、川魚をご自分で獲って調理なさっている姿が紹介されていて、うわー、いいなーと思いました。知らない種類の山菜がいくつも登場して、見ているだけでワクワクしましたね。そして自分もこれらの珍しい食材を実際に手にとって料理してみたいと思ったのです。

南軽井沢の緑豊かな通りにある、シックな看板が目印

南軽井沢の緑豊かな通りにある、シックな看板が目印

しっとりとした雰囲気が漂う、玄関までのアプローチ

しっとりとした雰囲気が漂う、玄関までのアプローチ

──いてもたってもいられず、軽井沢に来たという感じだったのでしょうか。

最初は興味本位で、軽井沢に住んでいる知り合いを訪ねました。そうしたら、地元の農家さんを紹介してくれて、その農家さんも顔が広くて、軽井沢だけではなく長野県内のいろいろな生産者のかたを紹介して下さったのです。もう、その広がり方の勢いがすごくて。瞬く間に、魅力的な果物やお肉、ハム、チーズなど、たくさんの食材に触れることができました。それですっかり夢中になって、思い切って定住することを決めました。

地元食材への愛情が豊かな、オーナーシェフの池田昌章さん

「瞬く間に魅力的な生産者の方々とのネットワークが広がった」と興奮気味に話す池田さん

──それは大きな決断ですね。

そうですね。でも、東京から近いということもあって、それほど大変な感じではありませんでした。移住後はまず、フレンチレストラン「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」に入り、1年後には姉妹店「無彩庵」に移動して8年間シェフを務めました。その後で、2011年に「無彩庵 池田」で独立開業することができました。

移住者が多く、どんな人も受け入れる風土

──池田シェフは、今はすっかり“軽井沢の人”だと思いますが、最初の頃は、違う土地からやって来たという立場上、不安や緊張はなかったですか?

まったくないです。こちらの人たちは、何というか、話好きの人が多いように感じます(笑)。皆さんからよそ者扱いされることは全然なくて、むしろ、本当にいろいろなことを教えて下さいました。それに、軽井沢には、もともと地元出身という人が少ないらしいですね。実際、私の知り合いのシェフは、ほとんどがほかの地域からいらした方たちです。さらに、移住してこられた方や別荘客の方も多くて。だから、どんな人も受け入れる風土があるのではないでしょうか。軽井沢は、長野県内でも独特の雰囲気がありますね。

全面ガラス張りで、気持ちよく食事ができる「無彩庵池田」

全面ガラス張りで、気持ちよく食事ができそうな雰囲気

──皆さん、あくせくしている感じがなさそうですよね。

そうです。軽井沢は、夏は観光客の方や別荘客の方が多くいらっしゃるのでどのお店にもたくさんのお客様が来て下さいます。なので、その部分でお互いに競い合っても仕方がない(笑)。それよりもオフシーズンをどう盛り上げていくかということを、最近は同年代のシェフ同士で話し合っています。みんなで軽井沢の魅力を伝えていこう。そのためにはどうすればいいか、と。みんな結構仲がいいですよ。先輩方をお呼びすることもあって、お酒を飲みながらいろいろと教わっています。

豊富な食材で「山のブイヤベース」づくりに挑戦

──今、「無彩庵池田」さんで使っている食材は、どこから取り寄せているのですか?

野菜は、「軽井沢サラダふぁーむ」さんのものを使っています。どれもすべて格別に美味しいですね。青物は香り豊かで、たとえばキュウリは青臭さがなく、優しくて深みがあって素晴らしいです。軽井沢は西洋野菜の種類も多くて、昔からルバーブなどが栽培されている点にも驚かされます。食材が豊富で何年いても興味が尽きません。

温前菜「房州 黒アワビのロースト 肝とルッコラピューレ」

温前菜「房州 黒アワビのロースト 肝とルッコラピューレ」

──料理人として、腕が鳴りますね。

軽井沢をはじめ長野県は意外な食材がたくさんあるので、いろいろな料理に挑戦したくなります。軽井沢から車で1時間ほどで行ける野尻湖には、天然ウナギやスジエビ、スッポン、それからタニシもいます。これらを使って今度「山のブイヤベース」を作りたいと思っています。タニシはかなりいいダシが出るので、チャレンジしてみたいです。

肉料理「信州新町サフォーク種羊背肉のロースト マデラ酒とアーモンドオイルソース」

肉料理「信州新町サフォーク種羊背肉のロースト マデラ酒とアーモンドオイルソース」

この土地らしさを発信していく

──おお、ぜひ食べたいものです。

こちらで食材巡りをしていると、その土地に住むおじいちゃんやおばあちゃんが、地元ならではの調理法を教えてくれたりします。想定外の食材の組み合わせが多くて、おもしろい料理をたくさん教わることができます。また、私には3人の子どもがいるのですが、休日になると子どもたちと一緒にイチゴやリンゴ、ブルーベリー狩り、それからクルミや栗拾いなどを楽しめることも嬉しいですね。

──では、最後に。今後の夢や目標があれば、お聞かせ下さい。

妻が陶芸をやっているので、将来的には妻が焼いた器で料理を出したいと思っています。そして、軽井沢をはじめ長野県にいらっしゃる木工作家さんや錫(すず)作家さんなど、現在もお付き合いのある作家さんの作品を取り入れて、この土地らしさを発信できる場所を作っていきたいと思っています。

スープ「桃のスープ ハーブティーのジュレ 生ハムチップ」

スープ「桃のスープ ハーブティーのジュレ 生ハムチップ」

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