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別荘にとって、いえ、別荘だからこそ欠かせない、ふだんのお手入れ。前回に続いて、メンテナンスやリフォームの専門家である東急Re・デザイン 佐藤さんに、別荘のお手入れのポイントについて伺いました。今回は「室内」のお手入れのポイントについて紹介します。

前回の記事:水まわり、浴室、キッチンのカンタンお手入れチェックポイント【その道のプロに聞く】 

室内のお手入れのポイント

前回でも触れましたが、ふだんからのお手入れが必要な理由は、ずばり、経済性。将来行うことになるであろう別荘のメンテナンス・リフォーム工事の際、お手入れしなかった場合と比べるとリフォームが必要な範囲が狭くなる傾向にあり、コスト面でもお得になります。

室内は普段生活する場所でもありますので、お手入れの方法についても総じて日常的な掃除の延長といったことが多くなります。別荘ならではの注意点としては、不在期間が長くなることが多く、その間にお手入れができないということ。滞在している間、湿気やカビ、悪臭防止のための対策を計画的に行うことが重要となります。

それでは別荘滞在時にできる「室内」の具体的なお手入れのポイントを、建物の各部分ごとにご紹介しましょう。

日差しや結露に気を付けたい「床」


床は材質ごとにお手入れの方法が違います。フローリングのお手入れは、掃除機でゴミを吸い取り、軽く水拭きするだけで十分です。また、年に一度はワックスがけをしてキズや汚れから守るようにしましょう。不在にすることの多い別荘では、日差しによる劣化に注意が必要です。窓からの日差しを直接受ける個所は特に傷みやすいので、フローリングの仕様にもよりますが、劣化防止のためにコーティングすることをおススメします。また、結露による水滴や湿気が原因となり、窓まわりから腐食することもあります。不在時には当然こうした状態に気付けませんので、窓に結露対策を施すことなどもフローリングを長持ちさせるコツです。

カーペットは、掃除機や市販のカーペットクリーナーなどで掃除をしておけば、ホコリやチリが舞い上がるのを防げます。もしも汚れやシミがついたら、住居用洗剤を薄めた液を固く絞ったタオルなどで、毛並みに沿って拭くとよいでしょう。また、ダニ防止や殺菌をするために年に2~3回は直射日光で裏干しすることが必要。別荘に訪れるタイミングを計り、計画的に行いましょう。さらに、数年に一度は専門業者にクリーニングしてもらうこともご検討ください。フローリング同様に、日差しや結露の対策を行うことも大切です。

「床」のチェックポイント

フローリングの場合
□フローリングの床は掃除機でゴミを吸い取り、軽く水拭きする
□年に一度はワックスがけする
□必要に応じて劣化防止のためのコーティング、窓に結露対策などを施す

カーペットの場合
□カーペット床は、掃除機やカーペットクリーナーなどで掃除する
□汚れやシミには、住居用洗剤を薄めた液を含ませ固く絞ったタオルで拭き掃除
□年に2~3回は直射日光で裏干しする

 

「壁」や「天井」は汚れやほこりに気を付ける


壁のお手入れは、一般的には軽く汚れを拭く程度で大丈夫です。壁紙の貼り換えのタイミングは10年ぐらいがめどですが、継ぎ目が見えたり、はがれるようなことがあれば早めに交換しましょう。タイルの壁はカビがつきやすいので、目地にカビ止めを施すと安心です。木の壁の場合には、ゴミやほこりがたまりやすいので定期的にクリーニングしましょう。
留守にしがちな別荘では、天井にほこりがついたり、クモの巣が張ったりすることもあります。滞在時にはこまめにハタキをかけるようにしましょう。
特に注意したいのは、変色。電球を使用している部屋の天井は、熱によって焼けてしまうことがあります。発熱が少ない、LED電灯が安心です。また、照明器具は汚れると明るさが低下しますから、定期的な掃除を心がけてください。

「壁と天井」のチェックポイント

□普段は軽く汚れを拭く
□10年をめどに壁紙の貼り換えを行う
□カビがつきやすいタイルの壁の目地にカビ止めを施す
□木の壁は、ゴミやほこりがたまりやすいので、定期的にクリーニングする
□天井はハタキをかける
□天井の変色防止のため、照明器具にはできるだけLEDを使う

 

和室に欠かせない「畳」のお手入れ


畳のお手入れは、畳の目に沿ってホウキがけをする程度でかまいません。ただし、カビが生えやすいので通気性には十分に注意したいところです。カーペット同様、年に2回は畳上げして直射日光で裏干ししましょう。また、畳表の裏返しは2年ぐらい、張り替えは3~4年ぐらいが目安になります。
一般に「い草」素材の畳には、虫がわきやすい欠点があります。せっかく和室に畳を敷いても虫がわいてしまっては……、台無しです。最近では、虫がわきにくく、カビにも強く、紫外線による変色にも耐性がある和紙素材の畳が登場しています。また、畳の表面に特殊な麻を用いた麻畳も、ほつれにくくソファやベッドなどの家具を置くのに最適です。こうした新素材の畳も検討してみましょう。

「畳」のチェックポイント

□畳の目に沿ってホウキがけをする
□年に2回は畳上げして直射日光で裏干しする
□畳表の裏返しは2年、張り替えは3~4年を目安に行う

 

「窓」はガラスだけでなくサッシにも手を入れて

ふだんのお手入れは、市販のガラスクリーナーで拭く程度で十分です。しつこい汚れはベンジンやシンナーで拭けば落ちますが、その際は後でカラ拭きすることをお忘れなく。
また、窓のサッシは水拭きを基本にワックスを塗る程度にします。クレンザー入り洗剤やブラシを使って拭くとキズがつくのでやめましょう。窓ガラスとサッシ間にある「ビート」と呼ばれるゴムにカビが生えると、劣化して開け閉めがスムーズにいかなくなったり、隙間風が入るようになるので注意が必要です。別荘滞在中には、サッシの溝もハケでゴミを掃き出すなど、きれいな状態に保てるように心がけましょう。

「窓」のチェックポイント

□市販のガラスクリーナーで拭く
□窓のサッシは水拭きをしてワックスを塗る
□サッシの溝はハケでゴミを掃き出す

 

「エアコン」は室外機やホースを掃除して快適に


エアコンのフィルターが汚れると冷暖房効率が悪くなり、余計に電気代がかかってしまいます。定期的に取り外してきれいにしましょう。エアコン本体の前面パネルのホコリも、掃除機などで吸い取っておきます。
見落としがちな室外機も、ごみなどが入ると異音が出たり、運転に支障が出ることがあるので、こまめに掃除をするようにしましょう。また、エアコンから出た水を外へ流すためのじゃばらのホースなどを「ドレン管」と呼びますが、ゴミなどによって水が出にくくなるとエアコンの効きが悪くなります。ドレン管周辺もきれいにしておきましょう。
とくに樹木に囲まれた環境にある別荘では、枯葉などが室外機やドレン管の中まで入り込むこともありますので、気を付ける必要があります。

「エアコン」のチェックポイント

□フィルターは定期的に取り外して掃除する
□前面パネルのホコリは掃除機などで吸い取っておく
□室外機やドレン管もこまめに掃除

 

簡単にできる室内のチェック

細かいところまで目を行き届かせることで、早めの対応が行えます。その結果、余計なコストが掛からなくなります。単に見た目のキレイさだけでなく、そうした面からもふだんからのお手入れが大切だといえるでしょう。別荘の定期的なお手入れとして考えた場合、不在時にどのようなことが起きるか想定してそれに備え、また滞在時に何をすべきなのかを明確にしておくことが大切です。例えば、カーペットの裏干しや壁・障子の張り替えなどの実施日や次の予定日を、カレンダーやメモ帳などに記すこともよいでしょう。

次回は「外まわり」のお手入れについて紹介します。

【シリーズ記事】
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アドバイザー

東急Re・デザイン マンションリフォーム事業部
佐藤 智美

二級建築士・インテリアコーディネーター。お客様からのリフォームでのご要望やお悩みに対し、「ご家族の住み心地の良さと高いデザイン性を心がけて提案しています。」またインテリアとの統一感を重視した収納提案も得意。

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