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春夏秋冬を通して、自分の別荘の庭に四季折々の花が咲き誇っていたら、素敵ですよね。

花々や植物に水を与えたり、雑草取りを行うひとときは、気持ちがリセットされて心が癒される時間です。そして、自分でコツコツと作り上げた庭を眺めながらの、ティータイムやバーベキュータイムはさぞ格別でしょう。今回は、初心者でも気軽に始められるイングリッシュガーデンの世界をご案内します。焦らずにゆっくりと庭作りを楽しんで、この世にたったひとつの楽園をもってみませんか?

 

自然そのものの美しさを重視するイングリッシュガーデン

イングリッシュガーデンとは、西洋のイギリス式庭園がベースになっているガーデニング用語で、自然そのものの美しさを重視する庭のことを指します。同じ西洋でも、フランス式庭園の場合は、左右対称に作った区画内に同種類の花のみを植栽するなど、人工的な整形が特徴です。一方、日本庭園は、園内に石や木、砂や池などを配し、玉砂利を敷くケースも。「庭は眺めるもの」という認識が濃くありますが、イングリッシュガーデンは、「庭は散策して楽しむもの」という考え方をもちます。

「イングリッシュガーデンは、例えるとオーケストラのようなイメージです。オーケストラの演奏を見ていると、パーツごとにさまざまな楽器の音が鳴り響きますよね。それと同じで、イングリッシュガーデンは、庭のあちこちにいろいろな花々が顔を出します。しかも、季節によって種類が違い、4月はチューリップ、5月はアジサイ、6月はダリヤという風に姿を現す。育てる側は指揮者のような気持ちになりますね」

そう語るのは、NICO株式会社の代表で、ヨーロピアンガーデンデザイナーのニコラス・レナハンさん。今回お話を伺った場所は、ニコラスさんがデザインを手がけた、鎌倉市の浄妙寺境内にある『石窯ガーデンテラス』。鎌倉の山々を借景に、広大な敷地に鮮やかな緑が広がり、所々にバラやショウブ、アジサイなどの花々が顔を覗かせます。美しく清々しく、癒しも与えてくれる空間です。

四季折々の草花を楽しめる、石窯ガーデンテラスのイングリッシュガーデン

「イングリッシュガーデンにはゴールデンルールがあります。まずは、同じ種類の植物を3ポット用意して、三角形の形状にして植えると綺麗に仕上がります。さらに数を増やすとしたら、3を5にして、次は7にしていくという具合に奇数で構成する。それから、手前には低い植物を植えて、後方に行くほどに背丈の高い植物を植えるとバランスがよくなりますね」

また、広い庭の場合は、庭が平坦にならないような工夫も必要だとか。

「庭全体にリズムを施すために、視線を集めるフォーカルポイントを作ります。たとえば、石像や大きい植物を配置したり、バラのアーチを設置するなど。そうすると庭のデザインが引き締まります。それから、日陰には、日陰だからこそ白やシルバー、パープルの花を植えたり。これらの色は日なただと色味がくすんでしまいがちで、日陰に植えると美しさが際立つのです。日陰か日なたによって、植えるものを見極めると楽しいですよ」

 

初心者がイングリッシュガーデンを始めるための、3つのコツ

生命力が強い一年草の花は、一年草だけを集めた場所に植えるなど配慮が必要

初心者がイングリッシュガーデンを作る際は、どのようなことを心がければいいでしょう。
枯れてしまったらどうしよう、何からどんな風に植えればよいのだろうなどと、つい身構えてしまいがちです。しかしニコラスさんが最も大事だと教えてくれたのは、肩肘張らずに、純粋に楽しむ気持ちを大切にすること。ゆったりと庭と向き合うことで、心身ともに癒されてほしいそうです。ほかにも、イングリッシュガーデンを作るコツをいくつか伺いました。

・頑張りすぎず、少しずつ

「庭作りをするとなると、皆さん、結構理想をもって頑張りすぎることがあります(笑)。でも、初めはシンプルに始めることをおすすめします。お庭というのは3、4年かけて出来上がっていくものなので、少しずつ植えて、それを管理していくほうが徐々に自信をもてるようになるのです」

ガーデニングは教科書通りに進められるものではない、とも。

「お花が枯れることはよくあるので、そういうときは、植える場所を3回ほど変えて、植物が好む場所を見つけるなど、植物と向き合うことが大切です。何よりも、物事を細かく考えずにプロセスを楽しむこと。庭作りがストレスになるのはよくありません」

・毎年花を咲かせる「宿根草」

毎年、いつの季節もイングリッシュガーデンを楽しみたいという人には、「宿根草(しゅっこんそう)」と呼ばれる種類の植物が適しているのだとか。

「宿根草とは、毎年花を咲かせる花や球根植物のことで、秋になると多くのものが枯れてしまいます。なので、秋には根元まで一度切り込んであげるのですが、地下に根が残っているため、春になると勝手に芽を出して自然と再び花を咲かせるのです。手入れがほとんど不要で、毎年植え替えをする必要がないので、コストとしてもリーズナブルに済みますよ」

ただし、手入れが楽な宿根草でも、根をうまく張りきれずにスムーズに育たないこともあるといいます。

・まずは一年間楽しむ。生命力の強い「一年草」

「なので、植物を育てるのがまったく初めてという人の場合は、まずは一年草から始めてみるとやりやすいかもしれません。一年草とは、種を播いたあとに花が咲いて、そして枯れるまでの期間が1年以内の花や植物のこと。代表的なものとしてはパンジーやペチュニア、マリーゴールドなどがあります。花が咲くのは4ヶ月ほどなので、少しの間しか楽しめませんが、その間に花を育てることのおもしろさを覚えれば、ほかの植物にも興味をもつようになって知識も増えるはず。そのうえで、宿根草にトライしてみるといいのではないでしょうか」

一年草を植える際の注意点としては、プランターや鉢の利用がふさわしいとも教えてくれました。

「一年草は、そのときだけ咲こう! という勢いがあって、生命力が強い植物です。そのため、ガーデニングに慣れてきて宿根草も育てるとしたら、宿根草と一年草は別のスペースに植えるべき。同じ場所に植えると、宿根草のパワーを吸い取ってしまいます。一年草は、プランターや鉢、もしくは別区域の花壇にインテリア感覚で植えるのがいいでしょう」

 

季節ごとに五感で楽しむイングリッシュガーデン

では、いざ、この季節に日本でイングリッシュガーデン作りに挑戦する場合、何から植えるのが無難でしょうか。

「7月や8月にイキイキと咲く宿根草は多いので、ぜひ宿根草を植えてほしいですね。種類は何でもよいですが、たとえば、ハーブのエキナセアは、ピンク色の優雅な雰囲気の花を咲かせますし素敵ですよ。宿根草は虫の被害を受けることが少ないので、その点でも育てやすいです。それでも虫が気になるかたは、庭のあちこちに、やや強めの匂いがするネギやチャイブ、ハーブなどを植えれば、匂いを嫌がって寄ってこなくなります」

イングリッシュガーデンといえば、バラのイメージがありますが、育てるのは難しいのでしょうか。

「バラを育てるのは難しいイメージがあるかもしれませんが、山の別荘地は涼しい環境のエリアが多いでしょうから、蒸し暑い地域に比べればメンテナンスは楽です。バラは水が大好きなので、植えたばかりのときは1週間から2週間ほど水をあげ続けないと根付かないのですが、その後は避暑地であれば何もしなくても育ちます」

芳しい香りや、触り心地のいい植物も見逃せません。

「オールドローズやイングリッシュローズなどは香りが素晴らしいので、庭に足を踏み入れた途端に香りを感じることができて優雅な気分になります。また、ふわふわとした葉が特徴のラムズイヤーは、触るととても気持ちがよくて心が和みます。花や植物は見た目も大事ですが、五感で楽しめるかどうかという点も重視したいですね」

育てるのが難しいと思われがちなバラだが、涼しい別荘地では非常に育てやすい

どんな花や植物をセレクトするかについて迷ってしまいそうですが、全体として考える際には、グリーンを主体に考えることがポイントだそう。

「花の色や形にこだわる人がわりと多いのですが、開花期以外は、庭にはグリーンしか残りません。なので、グリーンを主体に考えるほうが庭はまとまりやすくなります。たとえば、シャープな形状の葉の隣には、丸みのある葉の植物を並べて植えてみると、植物同士の個性が際立って庭が立体的になります。あまり好みではないと思う植物でも、ぜひ植えたあとのことをイメージして取り入れてほしいですね。例を挙げると、ススキは地味めの植物なので注目されにくいのですが、実際に植えると、風がそよいだときにゆらゆらと揺れて庭に新たな要素を加えてくれるのです」

 

別荘地でのガーデン作りで気をつけたいこと

別荘地で植物を育てる際に気をつけたい点として、ニコラスさんは3つのことを教えてくれました。

  1. 苗は、別荘地の園芸店やフラワーショップで買いましょう
  2. 土の状態を確かめて。なかには、水はけが悪い土もありますよ
  3. 動物に注意! シカやイノシシは球根が大好物。

1~3について、以下に詳しく説明します。まずは、1の「苗購入」について。

「地域ごとに天候や土の状態は違うので、苗を買う際は、別荘があるエリアの園芸店やフラワーショップで買うことをおすすめします。たとえば、避暑地の長野県の蓼科に、南国の九州から取り寄せた植物を植えてもなかなかうまく育ちません。自然環境がまったく違いますからね。最近は、苗をインターネットで購入することもできますが、やはり自分で確認して買うほうがいいと思います。そのほうが、植物に対する愛着も湧きますよ」

次の、2の「土の大切さ」とは?

「関東の土は黒い色のものが多くて、夏の時期は少し固くなります。そうすると水はけが悪くなることがあるので、ホームセンターでピートモス入りの土を買ってくるといいですね。それを黒い土とブレンドすれば、通気性や保水性などが高まります。それから、土壌の質を上げるという意味で、バーク堆肥という名の、樹木の皮が原料の土壌改良剤を土の上に2センチほどかぶせることもあります。そうすれば、自然の行程でバーク堆肥が土壌に沁み込んでいき、土の質がよくなりますよ。一方で、一時的に植物の成長を促す栄養剤はあまりおすすめしたくありません。根っこは大きくならずに地上に出ている部分だけ一気に成長するので、長期的に考えると丈夫な植物にはならないのです」

最後に、3の「動物に注意」の点について──。

「別荘地で一番手がかかるのは動物だと思います。たとえばシカやイノシシは、チューリップの球根が大好きなので、植えていると全部食べられちゃいます(笑)。それから、多年草のギボウシは葉っぱが柔らかくておいしそうに見えるのでしょうね。これもシカやイノシシは食べます。なので、葉っぱが若くて柔らかいうちは囲いをしておきましょう」

「庭作りは楽しむことが一番大切。焦らず、ゆっくりトライして」と、ニコラスさん。

 

誰にも邪魔されることなく、愛おしい庭で疲れを癒して

本格的なイングリッシュガーデンを作ろうと思うと、少し肩に力が入ってしまいそうですが、まずは好きな花を植えてみて、それを眺めながらお茶を飲んだり。次に訪れたときは草むしりにいそしんだり。自分のペースに合わせて庭作りを楽しむと、次第に、育てる喜びと植物を愛でる気持ちが生まれ、別荘で過ごす時間がより尊くなるのではないでしょうか。誰にも邪魔されることなく、愛おしい庭で日頃の疲れを癒す。なんて、贅沢なひとときなのでしょう。

 

NICO株式会社

住所:長野県諏訪市高島3-1201-446
TEL:0266-58-6587
FAX:0266-58-1968

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撮影協力

石窯ガーデンテラス

住所:神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-50(浄妙寺境内)
営業時間:10:00~17:00 月曜定休(祝祭日の場合は翌日に振替) 夏期・年末年始休業あり

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