楽しみ方

気温も湿度も高い真夏のゴルフはまさに苦行! 夏はプレーを控えるという方も少なくない。しかし、東京から新幹線でわずか1時間の軽井沢は別世界。標高が900m以上あり東京よりも5度くらい涼しく、湿度も低いので快適なプレーが可能だ。しかも世界の避暑地と呼ばれ国内のセレブリティだけでなく、海外からも評価が高い軽井沢に別荘をもちゴルフプレーをすることは、ゴルフ愛好家にとってステータスでもある。
そんな、他のリゾートには類を見ない特別感はどうやって生まれたのか? その魅力はなんなのか? まずはその歴史から見ていこう。

 

大正時代から「芝生の社交場」と言われてきた長い歴史を持つ軽井沢の別荘&ゴルフ

軽井沢別荘族が親しんできたゴルフの歴史は古い。1893年(明治26年)に碓氷新鉄道が開通し、東京からの別荘族が急増。その中には外国人も多かったという。その後、別荘族の間から軽井沢にゴルフ場をつくろうという動きが出てきた。1919年(大正8年)、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜の七男である徳川慶久を会長とした軽井沢ゴルフ倶楽部が設立。設計はスコットランドのセントアンドリュース生まれのトム・ニコルが行った。1921年(大正10年)に6ホールが完成し、1922年(大正11年)に9ホールが完成。フェアウェイは野生の野芝、グリーンは砂を利用したサンドグリーン。当時、日本で7番目にできたゴルフ場だった。貴族階級にも親しまれ、1923年(大正12年)には、後の昭和天皇もプレーしていると言われている。

昭和になり、9ホールでは狭いという声が続出。別の場所に18ホールをつくり現在の「軽井沢ゴルフ倶楽部」となった。そして、もともとあった9ホールはパブリックの旧軽井沢コースとして営業を続けたが、1943年に戦争のため閉鎖。戦後の1949年に12ホールのコースとして再開し、会員制の「旧軽井沢ゴルフ倶楽部」となった。
この二つは、プライベートコースとしてなかなかプレーできないコース。「軽井沢ゴルフ倶楽部」には語り継がれている逸話がある。理事長だった白洲次郎が当時の総理大臣田中角栄がプレーしたいとやってきた時、日曜日はメンバーズ・オンリーと断ったのだ。
戦後、軽井沢にはさらに多くのゴルフ場が誕生し、現在に至っている。この大正時代からのゴルフの歴史が、軽井沢を格式のある日本を代表するリゾート地にしていることは間違いないであろう。

 

トーナメントが開催される本格コースから、家族で楽しめるエンジョイコースまで楽しみ方がさまざま

軽井沢ゴルフというとやはり浅間山を見ながらのプレーも魅力。写真は「軽井沢プリンスホテルゴルフコース」

軽井沢のコースはメンバーコースだけでない。毎年女子トーナメントが開催される「軽井沢72ゴルフ 北コース」はパブリック。また、以前トーナメントが開催された「グランディ軽井沢 ゴルフクラブ」は会員制ではあるが、ビジターの予約を受け付けている。本格的なトーナメントコースで腕試しが可能だ。
また、初心者でも気軽にラウンドできるコースが多いのも軽井沢の特徴。ジュニア割引などを実施しているコースも少なくない。やや短めな2,565ヤードの9ホールコースである「馬越ゴルフコース」では、大人1人以上が同伴すると小学生以下は無料。軽井沢ゴルフというと敷居が高いイメージがあるが、むしろ子供とのゴルフを推奨しているコースが少なくない。

筆者も自身の娘が小学校3年生、息子が幼稚園年中の時に、軽井沢で家族ゴルフを楽しんだ。とはいっても年中の息子でも楽しめるようにと選んだのは「軽井沢プリンスホテルゴルフコース」にあったプラクティスホール。1ホールを貸し切るという仕組みなので、周りに迷惑をかけずに楽しめた。そして大人が大嫌いなバンカーが子供たちにとっては砂場。あえてバンカーに入れて、何度も脱出を試みていた姿が印象に残っているが、なによりも自由に家族ゴルフを楽しめたのが良い思い出になっている。

軽井沢に別荘を持ったら息子さんや娘さんはもちろん、将来はお孫さんなどとも気軽にゴルフプレーが楽しめる環境がある。そして、ゴルフの後に行えることもさまざま。ショッピング、温泉など。さらに別荘があればバーベキューも楽しめるので、家族で充実した休日を送れることは間違いない。

 

ふらっときて1人でゴルフをするなど、別荘をお持ちの方は自由なゴルフを楽しんでいる

軽井沢で別荘をお持ちの方はどのようなゴルフを楽しんでいるのだろうか? 軽井沢プリンスホテルの村松千帆さんに話を伺うと、「朝の天気を見て、ふらっと1人できてまわられる方が多いです。特に時間に自由のある方は、平日などのすいている時間を狙って自分の練習のためにいらっしゃいます」との答え。

手引きカートでラウンドできるのは晴山ゴルフ場。手引きカートでの1人ラウンドも可能だ

逆に言うと、通常は断られる1人でのラウンドだが軽井沢には可能なコースがある(晴山ゴルフコース、軽井沢プリンスホテルゴルフコースでは1人のみでのラウンドが可能)。また、別荘地とゴルフ場が車で10分程度と近距離のため、ほんとうに「ふらっと」いける環境にあるようだ。

「ご夫婦2人でラウンドする方も多いですね。軽井沢プリンスホテルゴルフコースでは、2人乗りカートでコース内に乗り入れ可能だというのも魅力のようです」。日本では4人乗りカートでコース内乗り入れ不可のところが多いが、ハワイなどの海外リゾートで一般的な2人乗りカートでのコース内乗り入れが、軽井沢でも楽しめるのだ。

ゴルフの聖地と言われるセントアンドリュースやハワイのゴルフリゾートで、筆者は1人でラウンドをしている現地の方と出会ったことがある。欧米のゴルフは、ゴルファーが選択できる楽しみ方の自由度が高いのだ。一方で、3、4人メンバーを揃えなくてはNG、1人プレーはNG、手引きカートはNGなど、制約が多い日本のゴルフ。
軽井沢に別荘を持つゴルファーは、楽しみ方が欧米に近いのか、朝でも昼でも夕方でも、行きたくなったら1人でもまたはご夫婦や仲間と2人でも、ゴルフが楽しめるという環境にあるようだ。

また、旧軽井沢でゴルフとファッションのセレクトショップ「プログレイス軽井沢」を運営している高柳 絢さんに話を伺うと「当店のお客様は別荘をお持ちの方が多く、皆さん自由にゴルフを楽しんでいらっしゃいますね」と松村さんと同様な答えだった。
しかも、その自由さはプレースタイルにも及んでいるという。高柳さん自ら参加しているという歴史ある軽井沢ならではのイベントが「ヒッコリーゴルフコンペ」だ。1900年代初頭にスチールシャフトが普及するまで、ゴルフクラブのシャフトにはヒッコリー(くるみ)が使用されていたが、そのクラシックなクラブでプレーしようというコンペ。ニッカボッカなどのオールドファッションで参加する。「なぜか木のクラブの方がリラックスしてゴルフできるんです。ゴルフ好き、ヒッコリー好きの別荘をお持ちの方々日本全国から集まりますので、ラウンドしながらの会話も幅広くとても楽しい」とのことだった。

ヒッコリーシャフトでナイスショット。写真はゴルフとファッションのセレクトショップ「プログレイス軽井沢」を運営している高柳 絢さん

なお、軽井沢人気は東京近郊の方だけではないようで、高柳さん曰く「関西の方も軽井沢に別荘をお持ちの方が多いですよ。最近だと北陸新幹線の影響か、金沢など北陸方面の方も増えているような気もします」とのこと。世界の避暑地と言われるだけあって、軽井沢の別荘ゴルフは日本中のどのエリアに住んでいる方にとっても憧れのようだ。

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