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話題の「民泊」リゾート物件で実現するための課題と可能性

みなさん、こんにちは。
東急リゾート別荘コンシェルジュの大森です。

最近、新聞やテレビのニュースで目に耳にする機会が増えた「民泊」というキーワード。特に「Airbnb(エアービーアンドビー)」というインターネットを介して空いている部屋を貸し出すという米国発の仕組みが話題になっています。

別荘の購入をご検討中の方の中には、「自分も別荘オーナーになって、使わない間はこの仕組みを利用して貸し出せないかな?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこで、今回は「民泊」に関する法規制の現状について調べてみました。

そもそも、「民泊」とは?

民泊は、マンションの空き室や空き家、一般家庭の空き室などを旅行者に有料で貸し出すことを指します。ホテルや旅館などと同様、有料で旅行者を宿泊させることから「宿泊施設」とみなされ、それを運営するためには、「旅館業法」を守る必要があります。

その際には、衛生管理や施設の設備、広さなどについて厳しい取り決めを満たさなければならず、一般の住宅がこの要件をクリアすることは困難とされていました。

最近話題になっている「民泊」は、国家戦略特区の特例を使い、条例でルールを定めてホテルや旅館に次ぐ宿泊場所として運用できるようにする、というものです。
ただ、安全確保、火災や事故などのトラブルが起こった場合の補償はどのようにするか、といった解決するべき課題は多く、広く一般に「民泊」の仕組みが取り入れられるまでにはもうしばらく時間が必要との意見があります。

その反面、増加傾向にある海外からの旅行客を受け入れる宿泊施設のひとつとして、期待されてもいる、というわけです。

「旅館業法」とは? 宿泊施設とはどんなものを指すの?

では、先ほどご紹介した「旅館業法」には、宿泊施設についてどのような定義がなされているのでしょうか? 少し抜粋して紹介したいと思います。

旅館業法(昭和23年7月法律第138号)
1 定義
旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされている。旅館業は「人を宿泊させる」ことであり、生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれない。
また、「宿泊料を受けること」が要件となっており、宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けない。
なお、宿泊料は名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものは含まれる。例えば、休憩料はもちろん、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費も宿泊料とみなされる。
また、宿泊施設付きの研修施設(セミナーハウス)等が研修費を徴収している場合も、例えば当該施設で宿泊しないものも含め研修費は同じとするなど当該研修費の中に宿泊料相当のものが含まれないことが明白でない限り研修費には宿泊料が含まれると推定される。ただし、食費やテレビ・ワープロ使用料など必ずしも宿泊に付随しないサービスの対価は宿泊料には含まれない。

<中略>
3 営業の許可
旅館業を経営するものは、都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受ける必要がある。旅館業の許可は、旅館業法施行令で定める構造設備基準に従っていなければならない。旅館業の運営は、都道府県の条例で定める換気、採光、照明、防湿、清潔等の衛生基準に従っていなければならない。

厚生労働省ホームページ 厚生労働省健康局生活衛生課「旅館業法概要」より

現在、空き部屋や空き家を「民泊」のための施設として営業行為をするためには、上記のような規定に従った環境を整えた上で、都道府県知事などの許可を受ける必要があります。

しかし、特区については、この規定が緩められることになっています。
(ただし、滞在期間は7日以上とし、職員が立ち入り調査するなど、条例が定められ、許可申請が必要)
さらに、2017年には、特区内の実績を踏まえて全国で解禁される、との話も出ています。

このような動きが広まればリゾートエリアでも「自分が利用していない間は別荘を観光客に貸し出す」といった、新しい別荘活用の可能性も出てくるかもしれません。

「旅館業法」と同じく気を付けたい「管理規約」「管理細則」

とはいえ、もし旅館業法の問題がクリアになったとしても、「貸し出しができる!」とは限らないことはぜひ押さえておいていただきたいポイントです。
購入後に「こんなはずではなかった」と思わないようにするためにも、事前に確認するべきことを把握しておくことがオススメです。

リゾートマンションの場合

リゾートマンションをはじめ、マンションタイプの物件は同じ建物の中に複数のオーナーがいる「区分所有」の形態をとっています。このオーナーひとり一人が快適な時間を過ごすために定められたルールが「管理規約」です。

物件によっては、所有者以外が単独で利用することを制限するなどの規約を持つ場合もありますので、購入前には必ず確認をしておきましょう。

第4章 用法
(専有部分の用途) 第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし 、他の用途に供してはならない。
(国土交通省「マンション標準管理規約」より抜粋)

一戸建て別荘の場合

マンションタイプに比べて比較的オーナーの裁量権が強い一戸建て物件ですが、管理体制のある別荘地では「管理規約」が定められている場合があります。ここでも「物件の貸し出し」に関する決まりが定められている場合がありますので、確認が必要です。

いずれの場合も、ゴミの出し方や騒音など生活面に関する利用時の注意がまとめられた「利用細則」があるものです。これらは、オーナーだけでなく、借りた側も守らなければならないもの。オーナーが厳守してもらうよう徹底しなければなりません。

参考記事:福利厚生で使うなら要チェック!リゾートマンション活用法

「これから次第」の新しい別荘の活用法

日本の原風景が広がるリゾート地へ

 

ご紹介した通り、今はまだ別荘を宿泊施設として利活用することには様々なハードルがあります。
具体的には、先述したような規制緩和の動き次第といったところでしょう。

他方、リゾートエリアは日本ならではの自然の景観や、落ち着いた風情が楽しめる場所が多く、海外はもとより、日本国内の観光客からも宿泊を希望する方が見込める可能性もあるでしょう。

平成7年に施行された「農山漁村余暇法(農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律)」は、そうしたニーズを含めた「グリーンツーリズム」の発想から整備された法令です。

「農家民宿」として利用できるようにするためには旅館業法の許可申請が必要となっていますが、宿泊施設として満たすべき要件が緩和されています。

農業・漁業を実際に体験する宿泊体験は、中学・高校生の修学旅行先などとして利用されており、都市部に暮らす子どもたちを中心に、彼らにとっての「かけがえのない思い出作りの場」となっています。

もし、今後「民泊先」として別荘を活用できたなら、あなたの理想の別荘が「誰かの大切な思い出の場所」となることもあるかも知れませんね。

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※注記※

・現在、民泊を行うにあたり「旅館業法」の適用除外とされる地域は国家戦略特区に指定されている東京都大田区と大阪府です。さらに、具体的な条例の内容はまだ決まっておらず、東京都大田区は2016年1月が、大阪府は2016年3月〜4月がメドとされています。(2015年11月1日現在)

・「旅館業法」の適用範囲内での宿泊施設の運営については、定められた要件を満たし、都道府県知事または保健所設置市なら市長、特別区の場合は区長の許可を受ける必要があります。詳しくはこちらをご覧下さい。
厚生労働省「旅館業法概要」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html

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