楽しみ方

念願の別荘を手に入れたら、当然インテリアにもこだわりたくなりますよね。生活する空間としてはもちろんですが、たとえばゴルフや釣り、音楽などの趣味の拠点として、ただ単に便利なだけではない、愛着のもてる空間を作り上げることができれば…。こんなに素敵なことはありません。

そこで、今回から連載で、簡単DIYによる“自分好みの癒し空間”作りをご提案します。イメージしたのは、「編集部員が実際に使いたい、フライフィッシングの毛針作りをするためのデスク」。もちろん、模型作りや読書、書きものなどなど、何にでも使うことができます。夢とロマンが詰まったスペース作りのヒントに、ぜひお役立て下さい。

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言うまでもなく、DIYとは、「Do」「It」「Yourself」の略。自分自身の手で、家具や趣味のものを作り、または修繕し、装飾することを指します。自分が本当に欲しいと思えるものをイメージし、作り上げる過程はクリエイティブそのもの。そして、仕上がったものとともに過ごす時間は、実に豊かです。

では、たとえば、自分の趣味の部屋にふさわしい家具を作りたい場合、まずはどんな道具を揃えればよいのでしょう。一級建築士で、“子どもが子どもらしく過ごせる場を作る”「こどもDIY部」の代表、さかたともえさんに伺います。

◆ ◆ ◆

これさえあれば大丈夫!一般的によく使う道具

(写真上段左より)木工用ボンド、さしがね、メジャー、かなづち、ノコギリ、クランプ(下段左より)インパクトドライバー、ビス

まずは最低限必要な道具からー。どれも馴染みのあるものだと思いますが、お持ちでないものは、ホームセンターで簡単に入手できるはず。初心者の方はあまりこだわり過ぎず、まずはやってみて、そこから好みのものを探していけばよいと思います。こだわり派の方は……、どうぞご存分に!(笑)道具も楽しみのうち、ですよね。

木工用ボンド……ベーシックなもので問題ありません。ボンドで仕上げることもあれば、仮止めに使うこともあります。

さしがね……大工さんの知恵が詰まった、L字型定規。使い慣れると、コレ無しでは作業できなくなります。

メジャー……より長い材料を計る場合はこちらを使います。スチール製がベターです。

かなづち……正確には、げんのう、ですね。打面の片方が真っ平ら、もう片方が少し凸状になっていて、こちらは釘を打つ時の最後の段階で使います。

ノコギリ……これも言わずもがな。替え刃式のものが多く売られていて、非常に便利です。

クランプ……ノコギリを引くとき、ビスを入れるときなど、材料をしっかり固定しておけると作業が捗ります。

インパクトドライバー……いわゆる電動ドリル。こだわるとキリがない道具です。ベーシックなものを購入しておけば、しばらくは満足できるはず。

 

より快適な作業や、美しい仕上がりを求める場合は、ワンランク上の道具を

(写真上段左より)マルチパワーツール、隠しクギ、ビット、スコヤ
(下段左より) ダボを作れるキット、ダボ、ダボ切りノコ、ソーガイド

マルチパワーツール……先端部分をドライバーやノコギリに付け替えられるので、1台持っておくと重宝します。手動でノコギリを動かすことが面倒な人にもおすすめですね。

隠しクギ……クギを打ったあとにピンク色の部分をかなづちで落とすと、クギの頭の部分がまったく見えなくなり、まるでクギ打ちしていないように仕上げられます。

ビット……電動式のドライバーの先端に付けるパーツ。さまざまなサイズや形があるので、いろいろと試すと楽しいですよ。

スコヤ……さしがねに似ていますが、より厚みがあります。木材にピタッと当てやすいので、直角かどうかを精密に確かめられます。

ダボ……木材と木材をつなぎ合わせたり、棚受けとして使ったり、穴をふさぐために使用する木製の棒のこと。自分好みのダボを作れるキットもあります。

ダボ切りノコ……普通のノコギリの刃は先端が左右交互に開いているのですが、この開きがないため、本体を傷つけることなく滑らかに切り落とせます。

ソーガイド……木材を正確に切断するときに使用したい、ノコギリ補助道具です。手ノコの作業が楽に、そしてより綺麗に仕上がります。

作業をスピーディーに進めたい人には、丸ノコもおすすめ

丸ノコとは、円形の刃をモーターの力で回転させて木材を切る電動工具。場所を取りますし、騒音の問題もあります。しかし、別荘なら……、こんな道具を置くのも夢ではありませんね。正確に素早く切断できます。

 

材料について……木材編

木材のなかで、一番軽くて柔らかい材質はスギです。加工がしやすいので、初めてDIYに取り組む人におすすめです。ただ、スギは肌目が荒く年輪がはっきりしているので、シンプルで美しい光沢を好む場合はヒノキを選ぶといいでしょう。また強度的にもヒノキのほうが強いです。

スギやヒノキより安価で角が面取りされている木材に、SPF材があります。SPF材は、ツーバイフォー工法と呼ばれる建築構造でよく使われる木材ですが、木工や工作にも多用されます。SPF材は節や割れの入り方が多様なので、できるだけ現物を見て買ったほうがよいでしょう。

また、テーブルの天板などの「板」は、合板でも充分ですが、木目にこだわりたい人はパインやタモの集成材も扱いやすくておすすめです。

 

購入はホームセンターかインターネットで

材料の購入は、一般的にはホームセンターで買うか、インターネットで注文するかでOKです。カットも同時に依頼できるので、圧倒的に楽です。インターネットの場合は、現物を見られない欠点はありますが、じっくり腰を落ち着けて発注できると思います。

さかたさんがいつも利用しているインターネットのお店「マルトクショップ
木材(無垢材・集成材・積層材)を好きなサイズに必要な数量だけ切ってくれるフリーカット販売や、床材(フローリング材)とウッドデッキ材の販売を行う通販専門店。木材のサンプルを送料無料で届けてくれるなど、顧客のニーズに合わせたプランが豊富に揃う。

 

材料について……塗料編

素の木の風合いも捨てがたいですが、フローリングや木工製品を長く愛用するためには、ニスやワックスなどの保護塗料を利用するのがベターです。最近のニスは扱いがよいものが多く、手軽に使うことが可能です。おすすめの製品を挙げますので、お好みで選んでみて下さい。

木工用みつろうクリーム
『木工用みつろうクリーム』は、原材料が、国産のみつろうや、なたね油、亜麻仁油、椿油、ヒバ油のみで環境に優しい素材ばかり。自然志向の人におすすめです。伸びのよさも人気で、スギなどの赤系の色の木材に塗ると、光沢が出てとても綺麗です。

ミルクペイント
ミルクカゼインが配合されている、クリーミーな質感で伸びがよい水性塗料の『ミルクペイント』。アーリーアメリカンの色調で、マットすぎない柔らかい雰囲気の仕上がりがとても人気です。

アンティークワックス
天然素材のミツロウを使用した、臭いが少ない『アンティークワックス』は、固い質感なので布やスポンジを使って塗ります。しっとりと濡れたような仕上がりになります。

 

次はさっそく実践編へ!

DIYに必要な道具や材料を学んだところで、次回は実践編です。趣味の部屋で活躍度が高く、さらにおしゃれな雰囲気がぐっと増す、ヘリンボーンスタイルのデスクを作ります。ひとつひとつの工程順に作業すれば、自分の手でデザイン性の高いデスクを仕上げられますよ。お楽しみに!

 

さかた ともえ

子どもが子どもらしく過ごせる場をつくる『こどもDIY部』代表。一級建築士。『こどもDIY部』では、モノだけにとどまらず、カフェやバンドなど、子どもが欲しいと思うものを随時制作。「料理を作るようにDIYで暮らしを楽しもう!」をコンセプトに、子どもから大人まで気軽に利用できるアトリエ『ワンダーボード』も運営。

撮影協力

KUMIKI PROJECT

東日本大震災以降、「奇跡の一本松」で知られる岩手県陸前高田市で始まったプロジェクト。「ともにつくるを楽しもう」をコンセプトに、家具や空間づくりなど住まいのDIYを学べる教室「DIYがっこう」を東京の早稲田で運営。国産材を素材に、「暮らしをつくる人をふやす」ことに取り組んでいる。

※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。

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