八ヶ岳で “スタイル” のある田舎暮らしを実践している、友枝 康二郎さんのエッセイをお届けします。第5回は、八ヶ岳の暮らしに欠かせない、そしてその日常を彩る存在でもある「車」がテーマです。リゾート暮らし、別荘暮らしは、趣味としてのカーライフと抜群の相性のようです。
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「憧れ」「夢のまた夢」だった車
僕が車趣味に目覚めたのは20代の頃。当時は渋谷区代官山の会社に勤めていました。
いつも事務所の道端に、淡いグレーの丸っこいオープンカーが止まっていました。それまではオートバイ一筋で、車は全く興味が無かったのですが、そのブリキのオモチャのようなオープンカーを見たときに衝撃が走りました。「へえ!素敵な車があるんだなあ!」という感じ。
興味が沸き調べて見ると、名前は、PORSCHE 356 SPEEDSTER。
PORSCHEという名前は、山口百恵の歌詞で聞いたくらいでした。
私が幼少の頃、1960年代によく見かけた車と同じカタチで、丸っこい形状。
父が乗っていた車は、MAZDA R360という軽自動車のクーペで、ほとんど毎日のように、この車でドライブに連れて行ってくれた記憶が蘇りました。
代官山で巡り会ったPORSCHE 356 SPEEDSTER。
この車が欲しいと思いましたが、高額なビンテージカーで、薄給の身分には夢のまた夢でした。
都心に住んでいると、車を持つにも駐車場を借りなければならない。当然屋根も無い賃貸駐車場。
会社員だった頃は、薄給だったので車も買えず、独立して初めて車を購入したのは、軽自動車の三菱ミニカオープントップターボという屋根が幌になっている車でした。
八ヶ岳生活に似合う車を探して 〜「夢」が叶う時
そして今住んでいる八ヶ岳のログハウスを建てはじめて、「軽自動車だと釣り合いが取れないなあ」と言う事で、欲しかった車の一つ、Volkswagen Type 2 delivery Vanを購入しました。
いざ八ヶ岳で走行となると、山岳リゾートに通うには、非力で山を登らないし、ヒーターがきかないので凍える。しばらくして日産テラノに買い換えました。
時はバブル景気、仕事も順調でヴィンテージのMiniを購入したり、その後、山口百恵の歌にあった「真っ赤なPORSCHE」、PORSCHE 356B CABRIOLETも手に入れました。まだ別荘として八ヶ岳へ通っていた頃なので、都心ではこの車のために立体駐車場を借りていました。
そして、ふと、「そうだ!八ヶ岳にガレージを作れば良いじゃ無いか!」と思い、ログハウスの横にガレージを継ぎ足しました。オートバイも所有していたので、PORSCHEとDUCATIがガレージに収まるのをみて、なんで今まで思いつかなかったのだろう、と思いました。
八ヶ岳のログハウスにガレージがあり、夢の様な光景。
八ヶ岳に好きな車やバイクを置けば、渋滞の高速を行き来することも無い。
ガレージから走り出せば、素晴らしい高原ロードが目の前に広がる。
おお!八ヶ岳ライフは車好きにとってもパラダイスだったんだ!
でもPORSCHE 356は、維持にお金がかかりすぎたため、手放すことに。車は快適に走らなければ大きなobjet d’art(骨董品・美術品)でしかない。その後は、実用的なSUVが車趣味の中心となります。
そして、オフロードの王道であるランドローバーを手に入れ、10年乗り回しました。八ヶ岳の景色にもマッチして気に入っていたけど、10年で10万キロ以上走るとあちこちに不具合が出てくる。
それで、今はMini Crossover COOPER D ALL4が我が家のFirstCarなのです。クリーンディーゼルで経済的!
若かりし頃の情熱を探して 〜もう一度、熱くなる時
60歳に近くなって、もう一度オープンスポーツカーに乗ってみたくなりました。八ヶ岳の四季を走っていると、風を感じたくなったんです。
PORSCHE Boxsterが良いなあと思ったけど、高額だし、また維持費を気にする事になる。買えるお金はあったけど、今の自分にはまだ早い…。
そんな時、HONDA S660が発売されました。僕の気持ちを察したかのように、軽自動車で本気のスポーツカー! モータージャーナリストも絶賛する車。
還暦の前祝いと妻にお願いして、真っ赤なHONDA S660がガレージの主になりました。
HONDA S660にROSSOという名前を付けてしまうほど嬉しくて、多分、この車は乗りつぶすだろうなと。
しかも軽自動車なので維持費が安く、国産車なので壊れにくい!
この車はコーナーリングマシンだ! 八ヶ岳のタイトなコーナーを楽しく走るには最適! スタッドレスタイヤを装着で納車しているので、凍っていなければ、雪道もグイグイ走る!
ROSSOが我が家に来てからは、走る楽しみを思い出しました。
熟年からシニア世代の方は、是非乗って欲しい!若かりし情熱が蘇ります。
それも、八ヶ岳ライフだったらなおさらなんです。
去年6月、次男が帰省してきたので、車山高原までドライブしました。
我が家から1時間かからない程で、八ヶ岳に住んでいると、ちょっと走るだけで最高のドライブを満喫出来るんです。
大人になった息子と二人でドライブなんて、オヤジとしては最高に嬉しいんです!
八ヶ岳の麓の韮崎にはサーキットもあって、去年の秋に走行会に行ってきました。驚くことに、数十台の参加者のほとんどが60歳を過ぎた方ばかり。サーキットなので全開走行しても安全ということで、全開で攻める走り! そしてこれが速い。還暦を前にして、新たな趣味に目覚めそうです。
八ヶ岳ライフ、それは都会ではあきらめていた趣味を謳歌することの出来るフィールドでもあるんです。渋滞も無いし、あるのは抜けるような青空! 好きな車やバイク思いっきり楽しめる青春プレイバックな八ヶ岳ライフ!
是非、貴方も始めて見ましょう。
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