お役立ち情報

伊豆・箱根・富士山と、三方をリゾート地に囲まれた静岡県三島市からこんにちは、「備え・防災アドバイザー」の高荷智也と申します。私は、家庭の防災や企業の危機管理をテーマに、講師業・執筆業・コンサル業を営むフリーランスとして活動しておりますが、仕事は東京・住居は地方と、いわゆる二拠点生活の実践者でもあります。

さて、初回となります今回は、二拠点生活を送る手法のひとつ「新幹線通勤」の実態をご紹介します。高額な定期代に注目しがちですが、コスト以外のメリット・デメリットはどうなっているのでしょうか。東京・三島間を東海道新幹線で移動し続ける実体験とあわせて、新幹線通勤の気になる疑問にお答えします。

新幹線通勤時間が長そう?いえいえ「会社でも自宅でもない第三の空間」なんですよ

「ものすごく通勤時間が長そうですね。」新幹線通勤の話をすると最初に言われるコメントです。私の場合、まず「自宅→三島駅」が自転車で20分、「三島駅→品川駅」が新幹線で50分、「品川駅→恵比寿駅」が在来線で15分、「恵比寿駅→会社」が徒歩で15分と、ドア・ツー・ドアで100分と、それなりの通勤時間でした。しかしこの通勤時間を長いと感じたことはありません、それは次の理由によります。

  • 通勤時間帯の新幹線(自由席)は、よほどのことがなければ座れます。
  • 座れればテーブルが使えるため、PC作業や書類作業も楽に行えます。
  • コンセント付の座席であれば、バッテリー残量の不安なくデジタル機器が使えます。
  • 食事も気兼ねなくできますので、朝食や夕食(または晩酌!)もOKです。
  • 快適なトイレやパウダールームがあるため、朝の支度も行えます。

 

始発の新幹線はこの通りのガラガラ、なんでもできます

いかがでしょうか、乗車時間そのものは確かに長いですが、睡眠に仕事や読書、食事から身支度まで様々な過ごし方ができますので、“通勤時間”ではなく“自由時間”として使うことができるのです。静かな車内は集中できる環境であり、1時間前後という乗車時間は一仕事片付けるのにちょうどよい時間でもあります。「会社でも自宅でもない第三の空間」という得がたい時間を得ることができます。

 

毎日新幹線通勤だとすごく疲れそう?むしろ満員電車より快適ですよ

「毎日ものすごいスピードで移動し続けると、なんだか疲れそうですね。」というコメントもよくいただきます。最高時速300キロ以上の新幹線で毎月数千キロを移動する訳ですから、確かに見えない疲労が蓄積しそうなイメージはあります。が、実体験としては都心の満員電車に20分押しつぶされるよりも、快適な新幹線に60分揺られている方が楽です。これには次のような理由もあります。

  • 新幹線は揺れが少なく、加減速もゆったりしているので体が楽です。
  • 客室とデッキが別のため、ドアが開閉しても外気が入り込まず温度変化がありません。
  • 駅に到着するたびに出たり入ったりという動きがないため、ゆったりできます。

疲労がたまっていたり睡眠不足が続いていたりする場合、往復で2時間近くの睡眠を取ることもできますし、体調が悪い場合もいわば移動する超高速トイレに乗車しているわけですから、お腹が不安でも問題ありません。むしろ通勤時間中に体力回復が図れてしまうのが新幹線通勤です。もちろん調子が悪いときは家でゆっくりするのが大前提ですが……

 

終電が早くて何もできない?最終電車は23時、意外と遅いのです。

「終電なのでお先に失礼します。」というセリフを、新幹線通勤を初めてからよく使うようになりました。原則として新幹線は0時から朝6時まで運行をしていませんので、在来線と比較をしますと終電が早めに設定されています。具体的には次のような時間です(記事執筆時現在)。

路線 最終電車 行き先
東海道新幹線 22時47分発 三島行き
東北新幹線 22時44分発 那須塩原行き
上越新幹線 23時00分発 高崎行き
北陸新幹線 22時04分発 長野行き

意外と遅くまで走っている新幹線ですが、在来線と比較をすれば早い終電時間。私自身、首都圏在住時には0時過ぎまで残業をしたり、オールナイトの飲み会に喜んで参加したりという生活でしたが、新幹線通勤となれば物理的に不可能となります。これをどう考えるかですが、わざわざ新幹線でリゾート暮らしをしようとする方にとっては、むしろ残業や飲み会を断る理由に使えるメリットになります。

また周囲の反応もかわり、新幹線の終電時間が近くなると「ほら早く帰らないと!」と気を遣ってくれるようにもなりました。また飲み会も一次会程度であれば問題なく参加できますし、開始が早ければ二次会まできちんと参加することも可能です。都心の会社とリゾート地の自宅、オンオフをきちんと切り分けたい方にとっては理想的な生活が行えるようになります。

 

新幹線で寝過ごしたらどうしよう?安心してください、帰れますよ

「寝過ごしたら大変なことになりそうですね。」三島と思いきや名古屋、高崎のはずが新潟にいた、という場合には焦りを通り越して絶望的な気分になります。しかし最近は在来線でも相互乗り換えが増加し、新幹線並みの遠距離に運ばれてしまうことがありますから、長距離寝過ごしを新幹線通勤だけの問題にすることもできません。

うっかり寝過ごしてしまった際、逆方向の電車があれば無償で乗せてもらえる場合があります。(通常の切符で寝過ごした場合は原則無償で折り返しできる規約なのですが、定期の場合このルールは適応外なので駅員さんの対応によることになっています。)私が寝過ごした場合も、駅員さんの配慮で逆方向へ載せていただき事なきを得ました……
ただ、次のような対策を取っておくことをオススメします。

  • 寝過ごし体質の場合はスマホのアラームをセットしてイヤホンを着けておきましょう。
  • お酒を飲んでから乗車する際には、デッキに立って眠らないようにしましょう。
  • 「終電の終着駅に住む」という必殺技もあります。

この必殺技ですが、東海道新幹線の「三島駅」、東北新幹線の「那須塩原駅」、上越新幹線の「高崎」駅を自宅の最寄り駅にします。すると、最終の新幹線はこれらの駅が終着駅となりますので、泥酔状態で乗車して完全に眠りに落ちてしまっても、最寄り駅で強制的に起こしてもらえるという荒技になります。

また「最終新幹線の終着駅」には車両基地が併設されていますので、逆に朝は「始発がたくさん」あることになり、確実に良い席に座ることができるようになります。さらに台風などで新幹線全体が遅延している場合も、始発駅からは定刻通り発車することが多いというメリットも得られます。

 

大雨や災害に弱そう?逆に新幹線の方が強い場合もあります

「今晩大雨らしいから、早く帰ったほうがいいですよ!」
就業時間中に台風や大雨の予報が出るとよく声をかけていただいた言葉です。しかし、新幹線はむしろ在来線より強固な大雨・強風・大雪対策がなされていますので、多少の台風であれば徐行運転などの措置が取れられることはあっても、運行が完全に停止することは少ないのです。

さらに大地震などの大規模災害が生じた場合、新幹線通勤者が徒歩で自宅まで帰宅することは困難ですが、東京都の場合「帰宅困難者対策条例」により、大地震発生時には原則として3日間職場にとどまることが努力義務として課せられていますので、新幹線通勤者も首都圏在住者も、基本的には等しくお泊まりになると考えられています。

この場合、普段から会社に防災セット・お泊まりセットを用意しておくと役立ちます。このセットは、うっかり飲み過ぎて最終の新幹線に乗り遅れてしまった場合にも役立ちますので、災害専用の対策というよりは、新幹線通勤を快適にするための準備として行うとよいでしょう。ちなみに私自身も1度だけお泊まりセットが活躍したことがあります、むろん原因はお酒です……

 

ご存じですか?新幹線通勤の “隠れメリット”

新幹線定期があれば、大人ひとりにつき小学生未満の幼児を2名まで自由席に同伴させることができますので、新幹線を使ったプチ旅行が無料(もちろん定期代は払っている訳ですが)で行えます。小さな子供や孫がいる場合は喜ばれること請け合い、私も息子たちを度々新幹線にのせて、父親株を上げる活動に勤しんでおりました。

また新幹線の定期は、クレジットカードで購入することができます。年間100万円近い費用になりますので、カードのポイントが凄い勢いで貯まります。もちろんこれに伴う支出をしているからですが、リゾート暮らしにおける住居費用の一部をカード払いできると考えれば、小さなメリットとして考えることができますね。

JR三島駅のホームから見える富士山はこのビッグサイズ、この景色のために新幹線通勤をするのです

 

新幹線通勤はリゾート暮らしのステキな構成要素

通勤時間を積極的に活用できる方、あるいは新幹線通勤というライフスタイルそのものを受け入れることができる方であれば、大変メリットのある選択肢になり得ます。リゾートライフを構成する素敵な要素のひとつとして、新幹線通勤というオプションを考えてみてはいかがでしょうか。

東京への通勤も考えるなら?テレワーク、ワーケーションにおすすめのリゾートエリア4選をご紹介します」では、普段は自然豊かなリゾート地で生活し、東京での仕事の時は新幹線を利用したいとお考えの方におすすめのリゾートエリアをご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

関連リンク:新幹線通勤の定期代はどのくらい?

※本記事は、高荷智也氏の知識と経験にもとづくもので、わかりやすく丁寧なご説明を心がけておりますが、内容について東急リゾートが保証するものではございません。
※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。

関連記事

リゾートさがしガイドブック集