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これまで別荘の購入時、そして維持に掛かる税金について、根岸先生に教えて頂きました。

初回にも述べましたが、別荘ライフにおける課税のタイミングは、大きく分けて「購入」「維持」「売却」の3つのステージに分かれます。家族構成やライフステージの変化に伴い、別荘を売却することもあるでしょう。そこで今回は、別荘の売却時における税金について根岸先生に解説して頂きます。

そもそも、別荘の売却時に税金を支払う必要性が生まれるのは、別荘を売却した金額から売却のための諸費用と購入額を引いた際にプラスになった場合、つまり譲渡益が出たときのみです。譲渡益が出なかった場合は、課税されることはありません。

また、掛かる税金は、別荘の所有者が個人か法人かによって異なります。個人ならば所得税、法人でしたら法人税が掛かります。まずは、あらためて所得税、法人税とはどのような税金なのかを見ていきましょう。

 

1. 所得税

所得税とは、個人に対する税金であり、その年の1月1日~12月31日の1年間に得た儲け(所得)に対して課税されます。所得税には、会社員の方にはおなじみの給与所得、自営業者の方の事業所得などに加え、利子所得、配当所得、不動産所得、譲渡所得、一時所得、退職所得、山林所得、雑所得の合計10種類があります。この中から個人の方が別荘を売却し、譲渡益が出た場合の譲渡所得について詳しくみていきましょう。
個人の方が、不動産を売却して出た利益を譲渡所得といいます。所得税は、給与所得や不動産所得などを合算して総所得を求め、税額を決定する総合課税ですが、不動産売却による譲渡所得は、他の所得とは通算できず、個別に税額を計算する申告分離課税となります。よって、仮に別荘を売却して損失が出ても、他の所得と通算することができない為、トータルの税金が安くなることはありません。

譲渡所得に対する税額の計算式は以下の通りとなります。

① まず「譲渡所得」を計算します。

譲渡所得 = 譲渡収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)

譲渡収入金額とは、売値のことです。この中には、固定資産税・都市計画税の精算金も含まれます。
譲渡費用とは、売るための仲介手数料など、売るために直接かかった費用のことです。
取得費とは、わかりやすく言えば買った時の値段のことです。取得費は、A:実額法とB:概算法で求めた場合に金額が大きい方を使用します。ただし、購入代金を証明する書類(契約書など)がない場合には、B:概算法で取得費を求めることになります。

本来は譲渡所得が出ていないにも関わらず、購入時の金額を証明できる書類がないと、税金が掛かる可能性があります。「買った時の契約書、領収書は必ずきちんと保管してください」と、根岸先生は注意を促します。

A:実額法

土地・建物の購入代金とその取得に要した仲介手数料などの費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額。

(例)40年前に土地1,000万円、建物500万円でログハウスを購入。

このログハウスを40年後に500万円で売却した場合、まず建物の500万円は全て減価償却して価値をゼロとします。よって、1,000万円の土地と、取得する際に掛かった仲介手数料が取得費になります。仮に、譲渡費用(仲介手数料など)が50万円だとすれば、以下の式が譲渡所得となります。

譲渡所得 = 500万円 - (1,000万円 + 50万円)
= マイナス550万円

B:概算法

譲渡収入金額 × 5%

概算法では、譲渡収入額の5%を取得費とみなします。1,500万円で買ったセカンドハウスを500万円で売った場合、本来なら実額法が適用となって赤字で税金が掛からないのですが、1,500万円で購入した売買契約書や領収書がなく、買値を証明できない場合には、概算法により売値の500万円の5%にあたる25万円が取得費となります。仮に譲渡費用(仲介手数料など)が50万円だとすれば、以下の式が譲渡所得となります。

譲渡所得 = 500万円 - (25万円 + 50万円)
= 425万円

なお、別荘・セカンドハウスには居住用の3,000万円の特別控除の特例等はありませんので、ここで求められた譲渡所得が課税対象となります。

② 次に税額の計算です。

税額 = 課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)

譲渡所得に対して課税される税金は、国税である所得税と、地方税である住民税が課税されます。税率は、土地建物の所有期間によって変わってきます。譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年超なら長期譲渡所得となり、税率は以下の通りです。

短期譲渡所得:39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
長期譲渡所得:20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

* 復興特別所得税として所得税の2.1%が上乗せされています。

注意したいのは、所有期間が譲渡した年の1月1日現在で計算されることです。例えば、平成28年6月30日にセカンドハウスを購入し、平成33年の7月1日に売却した場合、カレンダー上は購入してから丸5年が経過していますが、売却した年の1月1日現在においての所有期間は、5年以下です。よって、この場合、短期譲渡所得となり、税額は39.63%になります。

<税額の計算例>
譲渡収入金額(売値):1,200万円
取得費:1,050万円
譲渡費用:50万円
所有期間:20年

で税額を計算すると、
1,200万円 -(1,050万円 + 50万円) = 100万円
100万円が譲渡所得となり、
100万円×20.315%(税額) = 20万3,150円
20万3,150円が税額となります。

 

2.法人税

続いて、法人税についてご説明しましょう。法人税とは、株式会社などの普通法人と協同組合等に対する税金であり、利益が出ても損失が出ても、他の所得と合算します(マイナスになることもあります)。
法人税は利益ではなく、会計上の収益、費用に法人税の「別段の定め」に規定される調整を行った所得(益金)に課税されます。法人が不動産を売却し、利益が出た場合は、その分が所得(益金)となり、他の所得と合算されて課税されます。
なお、所有期間によって税額が変わるのは個人のみです。法人には関係ありません。

それでは、法人のケースについて見ていきましょう。
課税対象となる利益、そして税額の計算式は以下の通りとなります。

利益 = 売却額 -(売却した土地建物の簿価+譲渡費用)
税額 = 利益 × 法人税率

個人の譲渡所得の場合の“取得費”と異なり、法人の場合は“簿価”を使用します。なぜ簿価になるのかですが、土地は購入した時の価格ですが、建物については減価償却されます。ただ、法人の減価償却は個人と異なり任意です。よって、経営上の観点から、減価償却をしない年がある場合もあります。このため、簿価で計算します。

なお、法人は他の所得と合算し、法人税率を掛け、税額を求めます。法人税率については、法人の法人税、法人地方税を合わせて23%くらいかかりますが、資本金の額や大企業か中小企業かで税率は変わってきますので、詳細は国税庁のウェブサイト等を参照ください。

以上、売却する時にかかる税金について見てきました。繰り返しになりますが、税金を納めるのは譲渡所得がプラスになった場合であり、マイナスの場合は課税されることはありません。

また、売却時に限った話ではありませんが、売買契約書や領収書はきちんと保管しておきましょう。そして売却するときは、長期譲渡所得になるのか短期譲渡所得になるのか、所有期間を確認しておきましょう。確かな知識を持っていれば、いざというときに安心です。

 

監修

根岸 新

根岸税務会計事務所・所長代理。大学卒業後、新宿の高田馬場に事務所を構える同税理士事務所に入社。3代目として、所長代理を務める。ホームページでは「親子間のお金の貸し借り」や「ふるさと納税」といった気になるトピックスをわかりやすく解説するなど、「何でも相談されて、何でも答えられる税理士」を目指している。

※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。
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