お役立ち情報

別荘のお手入れのポイントについて、メンテナンスやリフォームの専門家である東急Re・デザイン 佐藤さんに伺う本シリーズ。最後は、「外まわり」です。環境の変化にさらされる場所だけに、ふだんのお手入れやメンテナンスを計画的に行うことが大切なようです。

外まわりのお手入れのポイント

建物の外まわり、つまり外壁や庭、外構などのエクステリアは、日光や雨風などの影響を直接受けることになるため、特に傷みやすい場所といえます。防水のための加工面や塗装面は、時間を経るごとに劣化していくため、そうした処理を施している玄関ドアや外壁、バルコニーや屋根などは、5年、10年の単位で事前にメンテナンスの計画を立てておくことが大切になります。別荘に訪れるタイミングを計りながら計画的に進めるとよいでしょう。

それでは、「外まわり」についての具体的なお手入れポイントをご紹介していきましょう。

「玄関ドア・門扉」は腐食や錆に気を付ける


玄関ドアが閉まりづらくなったと感じたら、蝶番(ちょうつがい)を確認してみましょう。ビスが緩んで固定位置が下がっている可能性があります。ビスをきつく締めれば直りますが、それでもだめなら蝶番本体が緩んでいることが考えられるので、専門業者に相談しましょう。海に近い地域では玄関ドアの塩害による腐食にも注意したいところです。腐食を防ぐ塗装などもありますので、早めに対策を行いましょう。

次に門扉ですが、ここは砂ぼこりや、蜘蛛の巣、鳥の糞などで意外に汚れているものです。また、海の近くでは海水の塩分がこびりつき、塗装の剥がれた個所から錆が生じたり、長期間開閉しないことで蝶番が動きにくくなったりすることもあります。掃除は水洗いが基本。日常の開閉で音がしないかどうかチェックして、異常があれば専門業者に相談することも大切です。錆が目立つようなら再塗装も考えましょう。
汚れやすいコンクリートやタイル、石張りのアプローチなどは、ホースで水をかけてから洗車用のブラシなどで軽くこすります。アプローチも水で濡らしてデッキブラシでこすればきれいになります。

「玄関ドア・門扉」のチェックポイント

玄関ドア
□閉まりづらい場合は、蝶番を調整する
□海に近い地域では、腐食を防ぐ塗装など対策を講じる
門扉
□門扉、コンクリートやタイル、石張りのアプローチの汚れは水洗いで落とす
□海の近くでは錆に注意し、目立つようなら再塗装
□開閉で音がしないかどうかチェックする

 

枯葉やゴミの詰まりに注意したい「バルコニー」


バルコニーで最も注意したいのが、排水口に枯葉やゴミなどが詰まって水漏れすることです。排水口まわりは掃除をして詰まりがないようにします。特に台風などの場合、排水溝から溢れた雨水が家屋の中へ流れ込むなどして大きな被害につながることがあるので、夏から秋にかけて別荘を訪れた際には念入りに掃除しましょう。バルコニー床面の保護層の劣化も、ひび割れや亀裂、水漏れの原因になるので、10年くらいの頻度で再防水を行うとよいでしょう。

「バルコニー」のチェックポイント

□水漏れの原因になる排水口の詰まりを掃除する
□床面の保護層は10年くらいの頻度で再防水を行う

 

「ウッドデッキ」は塗料で日差しや雨から保護する


ウッドデッキは放っておくと、日差しや雨などによってどんどん傷んできます。特に注意したいのが植木鉢やプランター。長い間同じ場所に置いておくと底面に湿気を帯びて腐食の原因となりますので、定期的に位置を変えるなどすると良いでしょう。ウッドデッキの塗装がはがれてきたと感じたら、再塗装して表面を保護するようにします。最近は天然木ではなく、天候による変色が起こりにくく、メンテナンスが楽な、樹脂などの人工素材を使ったウッドデッキもあります。

「ウッドデッキ」のチェックポイント

□植木鉢やプランターを置いている場合は、位置を定期的に変える
□塗装がはがれてきたと感じたら、再塗装して表面を保護する
□メンテナンスの楽な人工素材を使ったウッドデッキも検討してみる

 

ブラシでほこりを水洗いする「外壁」


外壁の汚れの主な原因はほこり。ふだんは、柔らかいブラシなどで水洗いしておきましょう。家庭用洗浄機を使えば、手の届かない範囲まで洗浄できるので便利です。しかし、外壁は見た目がきれいでも、塗装や材料の耐用年数が近づいてくると雨が壁の中に侵入するなど劣化してきます。そんな時には再塗装や目地の打ち替えが必要になります。一般に10年単位で行うのが基準ですが、少し早めに行ったほうが安心です。長期的には、外壁材の張り替えを行うようにしましょう。

「外壁」のチェックポイント

□外壁の汚れは柔らかいブラシなどで水洗いする
□塗装や材料の耐用年数が近づくと雨が壁の中に侵入するなど劣化するので、10年単位で再塗装や目地の打ち替えを行う

 

「屋根」の再塗装は15年以内に行う


屋根は長い間に素材や防水紙が劣化する可能性があります。塗装や材料の耐用年数が近づいたら再塗装を行いましょう。15年以内に行うのが目安ですが、別荘が建つ場所や向きによって劣化の速さが変わってきます。傷がついていないか、錆びていないかなどを目で見て確認し、少しでも異変を感じたら早めに再塗装を行ったほうがよいでしょう。長期的には、雨樋の部品交換や屋根材の吹き替えも必要になります。

「屋根」のチェックポイント

□屋根の塗装や材料の耐用年数が近づいたら15年以内に再塗装をする
□別荘が建つ場所や向きによって劣化の速さが変るので傷や錆びを目視で確認する
□雨樋の部品交換や屋根材の吹き替えも必要

 

5年に一度は防蟻処理をする「床下」

床下には害虫やネズミなどが住み着きやすく、それが原因で建物にダメージを与えてしまうことがあります。特に深刻なのはシロアリの被害。シロアリは予想もできないようなところにまで巣を作り、大量に繁殖して、多くのものを食い荒らします。シロアリは湿気を好むので、湿気の多い地域では特に注意が必要です。
心がけとしては、湿気が溜まりやすくなるので、床下の換気口の前には物を置かないようにすること。また、家のまわりに木材を放置するとシロアリを呼び寄せるので片づけましょう。
シロアリの点検は、狭い床下での作業だけに専門業者に任せたほうが安心。シロアリがいたら駆除してもらい、防蟻処理を行ってもらいましょう。防蟻処理は5年に一度ぐらい行うのがベストです。

「床下」のチェックポイント

□シロアリ対策として、床下の換気口の前に物を置かないようにする
□家のまわりに木材を放置しない
□シロアリ駆除は専門家に任せ、同時に防蟻処理を行ってもらう
□防蟻処理は5年に一度ぐらい行うのがベスト

 

日常的なお手入れで別荘ライフを末永く快適に

3回にわたって「水まわり」「室内」「外まわり」のお手入れについてご紹介してきました。そこで最も大切なのが、目視でチェックする習慣をつけることです。
建物の様々な部分を日常的にチェックするうちに、小さな異変にも気づきやすくなるはずです。そんな時に「この程度の異変なら大丈夫」と思ってはいけません。たとえ表面の色が変わっているだけでも、実は内部に大きなトラブルを抱えていることがあるからです。異変に気づいたら、タイミングを逃さずに対策を立てましょう。
別荘はみなさんの心のオアシス。いつまでも安らぎの場所であるように、ぜひ今回の話を参考にしていただければと思います。

【シリーズ記事】
水まわり、浴室、キッチンのカンタンお手入れチェックポイント【その道のプロに聞く】 
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アドバイザー

東急Re・デザイン マンションリフォーム事業部
佐藤 智美

二級建築士・インテリアコーディネーター。お客様からのリフォームでのご要望やお悩みに対し、「ご家族の住み心地の良さと高いデザイン性を心がけて提案しています。」またインテリアとの統一感を重視した収納提案も得意。

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