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八ヶ岳で “スタイル” のある田舎暮らしを実践している、友枝 康二郎さんのエッセイをお届けします。第6回は、雄大な自然を見下ろすことができる「天空のATELIER(アトリエ)」のお話。友枝さんの夢のひとつが叶うまでのストーリーです。

僕は、二十歳で八ヶ岳の環境に魅了され、いつかは住んでみたいと思いました。
こうした願望や夢は、誰しも抱くことですが、その気持ちは日々の日常に流され消えてしまう。
いいなあと思いつつも、タイミングを逃し、叶わぬ夢とあきらめ年老いていく。

でも、僕は違います。
その情熱をいつも心の片隅に温めて、29歳で脱サラしたときに、チャンスは訪れました。
格安の土地を手に入れたことによって、ログハウスを建てることが出来たのです。
夢を叶えるには、あまり綿密に計画しない方が良い。
どちらかというと、情熱と勢いが大事です。

かくして月日は経ち、八ヶ岳で田舎暮らしの夢を叶えるのが生業になっていました。
今まで、移住希望者に素敵なライフスタイルを提案してきましたが、その一方で、自分が今住んでいる家は既成のログハウスで不満もあった。
これからの八ヶ岳ライフを模索、研究、提案していく場、地方創生の提案の場として、かねがね自分の理想のATELIERが欲しいと思っていました。
そして、八ヶ岳ライフ30周年の今年3月に、念願の天空のATELIERを建てたのです!
資金の許す限り、やりたかった事を取り入れた。

今回は、天空のATELIERが出来るまでのいきさつをお話ししましょう。

 

荒れ地が「夢」を描くキャンバスになるまで

4年前、この土地を買いました。
ここは、昼でもうす暗いうっそうとした荒れ地でした。
土地の中にさえ入れないくらいトゲトゲの蔓が木々の間に絡まっていました。
いつも、犬の散歩でこの近くを通り、木立越しになんとなく南アルプスが見える。
妻と、「この土地を買って、伐採すればきっと眺望が良い土地になるんじゃ無いの」と話していました。妻も僕と同じ直感型の考えなので、「いいんじゃない!やってみれば!」。

管理事務所に聞いて見ると、急斜面で樹木の伐採にも費用がかかるから販売もしていないらしい。
買って自分で伐採するから売って欲しいと頼んで、格安で売って貰った。
晴れて自分の土地になったのですが、600坪以上の急斜面の土地の伐採見積を取ったら高額でビックリ!知人のツテで、格安でやってくれる木こりを見つけ、1ヶ月もかかって伐採。
かくして、予想以上の絶景の土地に!

荒れ地が南アルプスが一望出来る絶景の土地になった!

荒れ地が南アルプスが一望出来る絶景の土地になった!

土地を買い、伐採をしたら、資金が乏しくなりました。
しばらくは、そのままで景色を眺める土地として更地状態が続きました。
そのうちに、周りの別荘地の住人が、散歩でこの景色を見に来るようになり、近所では絶景スポットとして有名になったり。
その間は、一生懸命田舎暮らしプロデュースの仕事に従事し、移住を夢見て頼ってくる人々の理想の家をデザインしていました。
僕自身が住みたくなる家を提案するので、完成すると自分が住みたくて羨ましくなる。
そんな家を建てれば建てるほど、自分の天空のATELIERを建てたくなる……。

 

奥行きタタミ二畳分の建物

そして去年、念願叶っていよいよ天空のATELIERを建てる事になりました。
ただ、急斜面に建てる家は、造成や基礎工事に特別な費用がかかる。絶景を手に入れるには、ハイリスク・ハイリターン。

それでも現時点で可能な限りの家を建てました。
急斜面に奥行きのある家を建てると基礎工事が高くなるので、奥行き3.64mというタタミ二畳分しかない。その分、横幅は可能な限り広げ、13.64m。ウッドデッキも家の横幅と同じ。
2階にも両サイドにウッドデッキを付けました。

 

本が主役のATELIER

僕はクリエイターなので、家には本が沢山あります。
今までは、本棚に入らない本は、段ボールに入れて倉庫にしまったりしていました。
でも、アイデアを考えているとき、「あの本に参考になるページがあったな」と思っても、探せなかったりするわけです。
なので、天空のATELIERを作ったら、全ての本が一望出来る様な図書館みたいな本棚が作りたいと思っていました。
だから、天井まである吹抜けの壁を本棚にするアイデアは最初からあったのです。家の主役になる様に!

家を考えるときに、いつも配置に困るのが階段。
1階と2階を繋ぐ階段は、両方の間取りも考慮しなければならない。
天空のATELIERでは、階段も主役にしようと考えました。
家のセンターに吹抜けを作り、そこに本棚と階段を作る。階段を上がりながら、本が閲覧できる。階段がベンチにもなる。
家の主役になる部分を考えたら、次は脇役である玄関、リビング、ダイニングキッチン、そしてトイレやお風呂、洗面所。
これらは、両サイドに配置。

家のセンターの吹抜け部分が、一番居心地の良いスペース。壁には2階の天井までの本棚がある。

家のセンターの吹抜け部分が、一番居心地の良いスペース。壁には2階の天井までの本棚がある。

吹抜けの南側にはPictureWindowがあり、そこからの絶景を眺めるための特等席を作りました。
その横には、ビンテージなキッチン作業台をミーティングテーブルとして。ここで打合せをすると、とても良いアイデアが出てスムーズにミーティングが出来ます。
訪れる人も、とてもリラックスするのでしょう。

この家の特等席に座ると、あまりにも心地良くて眠くなってしまう。

 

毎日眺める景色がこんな感じだったら……

ウッドデッキに出れば、雄大な景色が広がります。
この大自然の中に住んでいることの素晴らしさを、ヒシヒシと感じる。

東京から思い切って移住して、自分の理想のライフスタイルを創造しながらここまで実践してきて、今、この景色を毎日眺める。
「思い立ったが吉日」という諺があります。人生って思っているより長くなくて、充実した年代はあっと言う間に過ぎていく。
田舎暮らしやリゾートライフをしてみたいと思っていれば、出来る事から始めてみるといい。
人生一度きり!だったら可能な限り自分の理想的な暮らしを叶えた方がいい。改めて、そう思います。

ウッドデッキに出れば、春夏秋冬の季節感をリアルに味わうことが出来る。

ウッドデッキに出れば、春夏秋冬の季節感をリアルに味わうことが出来る。

八ヶ岳山麓の春は遅い。4月でも雪が降る。
山の天気は変わりやすく荒ぶる事もある。
そんなエキサイティングな環境でさえ、心地良い家の窓越しからだと映画を見ているような感覚になります。
都会で一生暮らすより、人生の後半は、どこかお気に入りの田舎で暮らしてみると人生二倍は楽しめますよ!

突然の雪の日、暖かい部屋で外の景色を眺めながらコーヒーを飲む。

突然の雪の日、暖かい部屋で外の景色を眺めながらコーヒーを飲む。

 
最後に、ようやく春が訪れた八ヶ岳をお届け。
梅、スイセン、コブシ、桜などの春に咲く花が一斉に咲き始めました。

諏訪に降りると、土手沿いの桜とスイセンが綺麗だ。都心では見ることの出来ない組み合わせだけど綺麗です。

諏訪に降りると、土手沿いの桜とスイセンが綺麗だ。都心では見ることの出来ない組み合わせだけど綺麗です。

諏訪エリアの桜の開花は、都心より少し遅めで4月の半ばぐらいから。そして少しずつ、桜前線は標高を上がっていく。
お得に思うのは、桜を愛でることが、標高差で長い時間可能だと言うこと。
標高900m〜1200mの原村の居住地域の桜も順次咲いていき、最後に咲くのは、森の中に自生している山桜。これらは6月の頃に新緑に混じって咲く。
我が家の庭にも5本以上の山桜があって小さな花を付けます。
ソメイヨシノとは違って、冬を耐えてきた生命の息吹を感じる花です。

※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。
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