今回お話しをお伺いしたのは、多くの企業や個人の不動産にまつわる相談に答えることを生業とされている、不動産やファイナンシャルプランニングのプロ。賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリーの代表・賀藤浩德さんです。リゾート物件選びの基礎とコツを、プロの視点で掘り下げていただきました。
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リゾート物件を選ぶ時は、ウキウキ気分になります。ここでは、物件選びで失敗しこの気分を台無しにしてしまわないよう、リゾート物件を購入する目的、ライフスタイルに焦点を当て、物件を選ぶ基礎、コツをお話しします。
なぜリゾート物件が欲しいのか?
まず、なぜリゾート物件が欲しいとお考えなのでしょうか?
人により色々な理由があると思います。週末ごとに都会の喧騒を忘れてのんびり過ごす時間を持ちたいから、同じ週末ごとでもサーフィンなどのマリンスポーツを活動的に行いたいから、等々。あるいは、週末の利用ではなく、夏休み等の大型休暇で年何回か長めに利用できれば良い、と考える人も多いでしょう。
これらの理由は、現役組とリタイア組とでは大きく異なるのが通常です。なぜなら、求めるライフスタイルが違うからです。また、現役組の中でも、今を楽しめればいいという方と、老後にも役に立つ物件を確保しておきたいという方に分かれます。あるいはリタイア組においても、ご自身のセカンドライフを楽しむための物件が欲しいという方も多いですが、相続で子供に承継させることまでを視野に入れている方もいらっしゃいます。
欲しい理由(=目指すライフスタイル)で購入する物件が異なる
つまりリゾート物件が欲しい理由は、現役 vs リタイア、既婚 vs 独身、子供のいる家族 vs いない家族、老年 vs 若年、閑静 vs アクティブなど、ライフスタイルの違いとも密接に関係しているのです。
そして、ライフスタイルの違いにより購入すべき物件が全く異なってくるのです。考慮すべき代表的な条件を挙げてみます。
<参考>リゾート物件の代表的な利用の仕方と物件のタイプ・特性
□ 利用の仕方
——いつ利用するか
- 週末利用型/ハイシーズン利用型/移住型
——誰と利用するか
- 家族利用型/友達利用型
□ 物件のタイプ・特性
- 海/山
- マンション/戸建
- 閑静/繁華
- 自然重視/施設重視
例えば、「移住型」であれば、立地として自然を重視するのはいいのですが、日常生活を便利に営めるのかという視点も重要です。日常の食料、生活物資を容易に調達できるか、病気の時に通える病院はあるかなどです。
また、海、山において「週末型」でレジャーを楽しみたいのであれば、物件が所在するエリアの気候や希望するレジャーへのアベイラビリティ(可用性)の有無などが重要ですが、毎週末のモビリティ(移動性)の高さもそれに劣らず重要となります。毎週、渋滞に巻き込まれるのでは辟易するからです。
このように、物件選びにあたっては、ライフスタイルの視点からきめ細かに考えることが必要なのです。
ライフスタイルの検討はファイナンシャル・プランニングそのもの
ところで、ライフスタイルは一生固定しているとは限らず人生のステージによって変化することがあります。
例えば、若い頃は仕事優先のライフスタイルのため、リゾート物件はハイシーズンのみの利用が多いけれども、相応の年代になってくると余裕が生まれ、週末毎に訪れるようになる、といった変化が想定できます。リタイア後には、移住型に近い利用がしたくなることもあるかもしれません。
あるいは、独身時代は友達との利用が中心のライフスタイルの方も、結婚後には夫婦二人での利用、子供ができた後は家族での利用、老後はまた夫婦二人の利用に戻り、その後、孫を含めた大家族での利用に発展するなど、ライフスタイルが様々に変遷する可能性があります。
これらスタイルの違いにより求めるべき物件も異なりますので、購入する時点の自分のライフスタイルのみならず、購入後から相当高齢になるまでの長期のスパンで、どういうライフスタイルを望むのかを考えておいた方が良いでしょう。
計画したライフスタイルにおいて、購入物件はどこまで適用するかを考えるのです。
例えば、若い時にリゾート物件を購入するとします。毎週末にサーフィンを楽しもうと思うならば、当然、週末の利用が容易、かつ海に近い物件が第一候補に上がります。ただし、ここで、その先のライフスタイルも考えてみるのです。サーフィンを楽しむと言っても子供ができたら行きにくくなる、そうすると子供を親に預けるための動線(自宅 – 親の家 – リゾート地の動線)も考えておくか、とか、子供が大きくなったら親も連れて(つまり3世代で)一緒に行けるだけの広いキャパシティを持った物件を始めから買っておこうか、などの検討材料が出てくるのです。その際、微妙に候補エリアが変わることもあります。
実は、こうした検討を家族を巻き込んで行うことは、家族に楽しみをもたらし家族の絆を強めるので非常にお勧めです。
このように考えてきますと、ライフスタイルの検討は、限りなくファイナンシャルプランニングに似ていることがわかるのではないでしょうか。将来どの時点でどのような人生イベント(例:結婚、出産、子育て、子の結婚、孫、リタイア等)が発生しどのような収支状況・財務状況となるか?
これらを見定めた時、節目節目で自分が望んだライフスタイルが実現する条件が成就しそうかどうか(資金が不足しないか、自宅やリゾート物件はライフスタイルに合致し適切に維持されているか、売却や買替はどうか等)?
これらの検討は、まさしくファイナンシャルプランニングそのものと言え、リゾート物件購入にあたって是非実施していただきたいことなのです。
もっとも、この様に書きますと、そんなに色々と先の先のことまで考えないとリゾート物件選びはうまく行かないのかと、ゲンナリしてしまう方がいらっしゃるかもしれません。ここで申し上げたいのは、検討の厳密さを求めるということではなく、一度、長めのスパンでライフスタイルそのものを考えてみましょう、そうすれば希望する物件がより明らかになりますよ、ということです。
予期せぬライフスタイルの変化は誰にでも起こりえますが、そのような場合は、売却や買い換えなど、いくらでも方法はあります。リゾート物件は楽しく選ぶことが肝です。
目指すライフスタイルを満足させるリゾート物件選びとは
では最後にここまで述べてきたことを踏まえ、目指すライフスタイルを満足させるリゾート物件選びの考え方・コツをまとめてみます。
<考え方のコツ>
□ 自分/家族の長期のライフスタイルを家族と一緒に考え計画する
□ ファイナンシャルプランを作成する(ファイナンシャル・プランナーの力を借りてもよい)
□ 計画したライフスタイル、ファイナンシャルプランに合致した立地、物件タイプ、築年数等を有する複数の候補物件の中から関係者(家族)協議の上選定(Webや業者の力を借りる)
<物件選びのコツ>
□ 立地等の条件は、ライフスタイルに応じて考える
- 週末利用型ならば自宅から日帰り圏内、ハイシーズン利用型ならば遠隔地でも可、等々。
- ライフスタイルの将来の変遷をどこまで考慮するか考え、考慮期間内のライフスタイルに基づき詳細を検討。
- 閑静さを求める場合と利便性を求める場合では立地が異なるため、広義(リゾート地自体の広域比較、同一リゾート地内のエリア比較)と狭義(同一リゾート地同一エリア内の区画間比較)で検討。
□ 戸建かマンションかは、好みで選んで差し支えない
- リゾート物件も、自宅を選ぶのと同じ基準で考えて差し支えない。
- 土地付きがいいのか、セキュリティや管理費等のランニングコストをどう考えるか、老朽化した時の修繕や処分のしやすさは、等々が検討ポイント
- これらは好みの範疇で難しく考える必要はない(もちろん、利用頻度や利用目的によって使いやすさに差が出る場合は使いやすい方を選ぶ)
□ 実需がある物件を選ぶ(投資目的をメインに購入しない、実需がないところに投資は成り立たない)
<事業主体等から選ぶコツ>
□ 物件を利用しない期間が長い場合は、信頼のある管理会社が管理する物件を選ぶ
□ 開発会社・販売会社が大手でブランド力のある物件を選ぶ
- リゾート物件の価値が維持されるのは、エリアのステイタスの高さと人気による。これらは、通常、大手/有力企業のブランド力で維持されている。エリアの評判は開発会社が創り出したケースが多いうえ、大手・ブランド力のある会社は長期継続する企業が多いのでアフターフォローなどの面で安心でき、リセールバリューも比較的高いからである。
以上、私が重要と考えることをまとめてみました。皆様が楽しくリゾート物件を選び、リゾート生活を満喫できるようになるための一助になれば幸いです。
※本記事は、賀藤浩徳氏の知識と経験にもとづくもので、わかりやすく丁寧なご説明を心がけておりますが、内容について東急リゾートが保証するものではございません。