暮らし術 tanada_banner

都市だけではない、新しいライフスタイルを提案する堀江康敬さんのコラム第6回をお届けします。

最近、地方創生でシビックプライド(civic pride)という言葉がじんわりと注目され始めています。シビックプライドとは、自分の住んでいる都市(市区町村、商店街、沿線、など)に対して「誇り」や「愛着」を持って、自らもこの都市を形成している1人であるという認識を持つことです。

堀江さん曰く、生まれ育ったところへの愛情というよりも、今暮らしている地域への誇りや愛着を持つ「地元愛」といったニュアンスだそう。

今回は、暮らす場所への親近感や愛情を育むためのコミュニティづくりについて提案します。こうしたコンセプトが、移住や別荘暮らしをより実り豊かなものにしてくれるかもしれません。

住民一人ひとりがまちづくりに参加・交流したエコタウンのケース

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庭木の枝が道路上にはみ出しても、苦情が出る日本の都市での暮らし。庭の木1本にも気を使います。

一方、カリフォルニア・ヴィレッジホームズは、木々が繁り、蝶々が飛び交い、鳥がさえずり、リスが走り回る、「庭園そのもの」の街。そして、サクランボに桃に枇杷、柿が実り、今では「誰でも自由にもいで、食べられますよ」がコンセプト。

子供たちが食べるのも環境づくりの狙いだから、農薬はいっさい使っていません。この町で暮らす人は個人の庭を狭め、その分をコミュニティ施設やグリーンベルト、農地といった公共の空間に振り向けています。

どうやら、「我が町をより良くするために、自発的に参加しているんだ!」そんな、町に対する住民の自尊心と誇りが、この美しいエコタウンづくりの推進力になっているようです。

 

町の魅力は人の魅力。地元の達人を集めて「達人茶会」を開催

田舎に移住して始めて気が付いたんですが、地域には身近な生活の中で活躍するプロフェッショナルたちが数多く存在していました。例えば、こんな人たちが……

  • 子供のための食器づくりを提案する主婦たち
  • 薫製づくりの名人である陶芸家
  • 出刃一本で大物鱸をさばく大工の棟梁
  • 究極のビネガー料理百珍を提案するお酢屋の夫婦
  • 大物ジャズメンを招聘したうどん屋主人と仲間たち
  • ふるさとの絵本づくりに奔走する元小学校の先生
  • 毎年地球の秘境を走破しているペンションオーナー、等々。

生活の糧とする仕事と、もうひとつの技を楽しみにも積極的に取組む人たち。このキラキラ輝いている人々に呼びかけ、交流の場を設けました。名称は「達人茶会」(ちょっと気取ってますが)。それぞれの視点から町の隠れた魅力を披露しあって「もっと地元を好きになろう!」が目標です。

“地元愛”を育む、いわば我が町の応援団。その後は、居酒屋で、町営温泉の露天風呂で、口角泡を飛ばす飲み会を重ね、やがて「達人茶会」の面々によって、町内の50数店舗を網羅したグルメマップが作成されました。そして町役場を巻き込んだ町内イベントが開催され、そして町のポータルサイト開設まで一気に加速していきました。参加者だけでなく、その周囲の人も“地元愛”が深まっていくことを感じる動きです。

 

移住者が自発的に参加したくなるコミュニティをつくる

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都市部等から移住した新住民が多いリゾート暮らし。新しいコミュニティづくりが移住者間の交流を促し、地域を元気にする有効な手段となっていきそうです。この土地を選んだという共通の仲間意識がバネになり、参加型・共感型でふるさとを応援する有効な手段になるはずです。

コミュニティづくりは、大袈裟な、堅苦しい集まりのイメージではなく、「一緒にバーベキューでもやりながら、地元のことについて話してみませんか?」という呼びかけのレベルからスタートしたらどうでしょう。そして皆んなで、ネットで美味いもんをお取り寄せしたり、ピザ窯を手づくりしたり、野菜づくりのノウハウを交換しあったり……
第二の故郷を楽しく元気にする交流仲間へと広げていく。

  1. 移住者各自の「やりたい」「できる」を持ち寄り、トライ&エラーで始めてみる。
  2. 自分たちが楽しめる!ことを優先させ、中断することなく続けること。
  3. 常に前進しつつ臨機応変に対処しつつ、8割程度の目処が立てば見切り発車も気にしない。
  4. 入退会は自由として、肩の力を抜いた穏やかなチーム活動を実行する。
  5. 外部のスキルや情報の刺激を取り込んで、自分たちのノウハウに活用する。

そして、参加したことで生まれたメンバーの活力・連帯感・地域との結びつきを、いかに次の展開につなぎ、持続するかが課題になってきます。まとめれば、下図のようになるでしょうか。

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新コミュニティ発のSNSで地域内外に地元への愛と誇りを発信しよう

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こういった活動をする際には、やはり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が重要な役割を担ってくれそうです。

現実の“つながり”を、ネット上で再現して交流することができるFacebook。最初は非公開のグループ機能を利用して、メンバー間の近況報告や質問(その回答)、ミーティングの出欠などの閲覧・投稿に活用。そして誰でも参加できるグループ機能では、地元の祭りや季節の風景の写真・動画ギャラリーで紹介したり、「いいね!」ボタンで仲間を増やしたり、町内イベントへの参加も呼びかけることもできます。

地域を発信源にしたSNSは、前述のように顔の見える交流が特徴といえます。新住民でスクラムを組んで生まれたコミュニティから地元に働きかけることで、薄れかけていた「地元愛」に再度気づかせ、地域おこしの有効な手段になっていきそうです。

最後に、英国のシビックプライド・キャンペーンの素敵なメッセージを。「You Are Your City(あなた自身があなたのまちです)」。

 
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※本記事は、堀江康敬氏の知識と経験にもとづくもので、わかりやすく丁寧なご説明を心がけておりますが、内容について東急リゾートが保証するものではございません。
※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。
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