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こんにちは。アトリエ137の鈴木です。別荘を建てようと考えたとき、多くのかたが外観のデザインもこだわりのひとつになると思います。外観の美しさは、昼間はもちろんですが、日が落ちて暗くなったとき、また違う表情を見せてくれる夜の風景を意識してみると、より深みのあるものになります。今回は夜でも外観が映える別荘をご紹介します。

 

照明のベーシックな考え方

照明器具は夕景に映えますし、外灯がそれほど多くない別荘地ではとても大切な要素になります。
「ほしいのは灯りであって、器具でない」と言われた建築家もいますが、どちらかというと私もそういう主義で、ダウンライトや間接照明を中心に計画しています。「ペンダントライトがほしい!」という方には、特徴的なデザインをもつペンダントライトが空間のアクセントとしてより活きるように、他の器具はよりシンプルなもので構成することをおすすめしています。
灯りの色温度は、空間全体に渡って統一することが大切です。違う色温度の灯りが混ざってしまうと、ちぐはぐで落ち着きのない空間になってしまうでしょう。色温度は、温かみのある色の方が気持ちをリラックスさせてくれますので、私は色温度2700Kの橙色の電球をおすすめしています。
かぁっと明るい色温度がお好みという方もいらっしゃると思いますが、最近は色温度を変えることができるダウンライトもありますので、シチュエーションによって変えていただくのもよいと思います。
照明器具によって、広がりをもって照らすものやスポット的に細く光を落とすものがあります。ベースとするのは広がりのある拡散タイプの照明器具がよいですが、飾り棚や絵をかける壁に集光タイプのもので光のアクセントをつくるのもよいと思います。

※ダウンライト… 通常、天井に埋め込んで設置する照明  ペンダントライト… 天井から吊り下げて設置する照明

 

夜景に映える白い外壁の例

暗くなってもコントラストが出る白い外壁は、ライティングにより外観の美しさが際立ちます。とくにガラスのなかに浮き上がる室内はとても綺麗です。

 

事例紹介:長野県軽井沢Iさんの家

吹抜けのある空間は二層に渡って大きなガラス面がとれるため、くっきりと室内の空間が表現されます。Iさんの家では、らせん階段やキッチン、家具、薪ストーブなど、それらのすべてが空間のモニュメントとなり、建物の美しさを伝えてくれています。

023軽井沢Iさんの家

 

事例紹介:長野県小諸市Iさんの家

連続するガラス面と白い外壁とのコントラストがきれいに表現されています。
Iさんの家ではダウンライトも最小限に構成し、間接照明やペンダント、スポットライトが活きるような照明計画をしています。夕景写真では天井からのスポットライトは点けず、ダウンライトと間接照明、ペンダントによる灯りのみで撮影しています。日常の生活でも間接照明だけで過ごすのも、素敵な夜になりそうで、ワクワクします。

016小諸Iさんの家

 

事例紹介:長野県軽井沢 カルイザワハウス

照明は空間全体で均一になるようなレイアウトにすることが大切です。ガラス面とセットで、一枚のガラス面にひとつのダウンライトのように考えると、夜でも映えます。2階のLDKは両面ガラスのため、建物の向こう側まで透けていく感じも特徴です。

035カルイザワハウス

 

照明が引き立つ黒い外壁の例

黒い外壁は暗くなると、外の風景に溶け込んでしまい、建物の輪郭が分かりにくくなります。その分だけ室内のライトが一層引き立つというものです。

 

事例紹介:長野県軽井沢Kさんの家

外壁を黒くすることで、フローリングの白さが際立つKさんの家。白い色は光が反射しやすいため、部屋の中がとても明るく、ブルーとオレンジの壁がアクセントとしておしゃれな空間を演出してくれています。

036軽井沢Kさんの家

 

パノラマティックに彩る平屋の例

平屋は高さがないため、特にガラス面を広く長く取ることが夕景を美しく見せるポイントです。構造的な配慮をしながら、ガラス面を連続させてレイアウトすることで、より印象深いものになります。

 

事例紹介:長野県軽井沢Sさんの家

Sさんの家はガラス面を広く長く取った平屋の好例です。ガラス面を長くとることで、室内からの光も広がりを見せ、夕やみに浮かび上がってきます。

025軽井沢Sさんの家

 

事例紹介:千葉県君津市Sさんの家

屋外テラス前にしつらえたファイヤーピット。照明の灯りと違って、火のあかりのゆらめきはまた格別です。

048君津Sさんの家

 

◆ ◆ ◆

いかがだったでしょうか? 夜景にはやはりガラス面の大きなお宅が映えますね。
視線を気にすることなく、大きなガラス面をとることのできる敷地環境は、別荘地ならではの特権とも言えます。ガラス越しに浮かび上がるインテリアのなかで、そこに佇むあなた自身が森のなかのモニュメントになるのかしれません。
夜の外観をなかなか意識することはないかもしれませんが、これもまた建築のひとつの楽しみ。この機会に眺めてみてください。

さて、これまで設計者の視点から別荘をご紹介させていただきました。今回が最終回となりますが、みなさんの別荘という夢を膨らませるときの参考にしていただけると、うれしいです。

 
写真提供:アトリエ137 一級建築士事務所

※本記事は、鈴木宏幸氏の知識と経験にもとづくもので、わかりやすく丁寧なご説明を心がけておりますが、内容について東急リゾートが保証するものではございません。
※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。
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