毎日寒いですねーまったく。
気が付けば、背中がくわっと丸まって固まって、両脇をすぼめて小股で歩いていませんか?
あ、それはわたしか。笑。
たまたま学校帰りの息子と家の近くで出くわしたとき、「どこかの落ち込んでるおばさんかと思った。姿勢よくした方がいいよ」と真顔で注意されました。ハッとして、肩を開いて堂々と歩くようにがんばってみましたが、表面積が大きくなり体温が奪われるのがじわじわ苦痛になり、気がつけばまた猫背。
あー寒い寒い。
このコラムでも毎年言ってますが、今年だって言いますよ。
寒いのは、嫌いだー!
なのに家族はわたし以外全員寒いのに強くて、「いちいち寒い寒いって、きっとママは精神がたるんでいるんだ」とむちゃくちゃな精神論を振りかざしてきます。暑いのに強いわたしから言わせれば、夏に暑い暑いとへばっているのこそ、大いにたるんで見えるんだぞ。人には得手不得手があるのだ!
これくらい寒いのが苦手だと、「どうしたら冬を心地よく過ごせるか?」ということに、すごく敏感になります。
といっても、暖房がガンガンに効いた室内にいりゃいいという話ではないですよ。特に週末は、屋外で過ごすことが多い暮らし方をしていますからね。北欧の人たちのように、短い日中の時間をなるべく外で過ごしたいと思うし、太陽が低い位置にあるこの季節ならではの風情も存分に楽しみたいし。
そこで、この寒がりが自信を持ってオススメする、「田舎の冬を温かく過ごすマイベストアイテム5つ」をお伝えしようと思います!週末田舎暮らしを11年続けられたのも、これらを組み合わせで暖をとってきたおかげです。巷で売られているものもあれば、売られていないものもありますから要注意。
では早速、ご紹介しましょう。
マイベストアイテムその1:断熱ソックス
分厚いソックスのことね。と思うなかれ。
実は先日、理想のソックスに逢いました。
友人が、野良仕事をする人たちに向けた作業着販売をしており、東京で行っていた販売会で見つけて3秒で購入を決めたものです。
マグロといえば、秋から冬にかけて獲れる大間マグロが有名ですが、大間といえば青森、青森の冬の海といえば……その極寒ぶりは想像に難くありません。少なくとも、わたしが「南房総って意外と寒いんですよー」とほざく言葉がかすむほどではないかと思います。
で、これ、本当にマグロ漁船乗組員が愛用していたという靴下の復刻版だそうです。持ってみると、みしっとした質感が分かり、期待は募ります。
さて、実際はどうだったかというと、
謳い文句に違わず暖かくて、分厚いのにごわつかなくて履き心地がいい。スキー用の靴下とは別物です。
で、これで1日過ごしてみたところ、いやいいわこれ!
朝晩通じて足先が冷たいと感じる瞬間がなかっただけでなく、野良仕事で汗をかくこともある日中も長靴の中で蒸れないのです。見ると、ウール80%。なるほど漁師さんはこういうものを履いていたのか。
実はわたし、ガンコな末端冷え性で、特に冬の足先は保冷材のように冷え切るのが悩みでした。冷たいままの足で寝ようとすると、布団の中に冷気がたまって眠れないくらい。また、南房総の古民家は部屋の床が畳なので、廊下はスリッパ→部屋は靴下→台所はスリッパ、と足元の暖かさが安定しないのが潜在的なストレスでした。これが一気に解決し、すごく嬉しい今冬です。1日16時間くらい履いているかんじ。
こういう小さな喜び、大事ですよね。
暮らしのクオリティを底上げしますから。
マイベストアイテムその2:車
車に暖房入れて車上生活しよう!
というわけではないですが、実はまったくハズレでもない。笑。
実は先日、近所の方のところに用があり、伺ったんです。
南房総の暮らしの中では、お宅訪問の際、ピンポンをしたこともされたこともないので(うちはピンポンあるけど、あれは鳴るのかな……)、「すみませーん、馬場でーす」と声をかけたところ、「はーい」と声がしたのが家の中ではない。かといって、畑の方でもない。あれどこだ??と首をぐるぐる回して声の主を探すと、「昼寝をしてて」と、陽だまりに置いてあった軽トラの中からご主人が出ておられました。
その時は、うふふ、運転後に寝ちゃったのかなあ?と思っていましたが。
後日、うちの軽バンの中に買ったものを忘れてしまった時があり、ドアを開けて中に入り、ごそごそと荷物を取り出そうとしたところ、気が付いてしまいました。
日中の車中って、なんて気持ちがいいんだ。と。
野良仕事の途中で、家に入って休憩することはあまりないわたし。理由は、長靴を脱ぐのが面倒とか、汚れた服で寝転ぶのがちょっとアレとか、もし寝ちゃったら果てしなく寝てしまいあとで後悔しそうとかこまごまあるんですが、この時は思わず、天からお呼びがかかったかのようにすうっと車内に引き込まれ、そのまま椅子を倒してうとうとうとうと……笑。
いやあ、これってまさに、作業中の「ひと眠り」だよなあ!
そういえば、工事現場で車で寝ている方たちをよく見ますが、あれって至福のひとときなのですね。風が入らず、ぽかぽか穏やかにあたたかくて、音も適度に遮断されていて、邪魔が入らず、うとうとから目覚めたらそのままスイッと起動できて。
すでに世の常識だったらごめんなさいね。
わたしは初めて、冬の車があんなに幸福なシェルターだと認識したので、つい!!
みなさんも、良ければ野良仕事の合間に、車でお昼寝してみてください。
駐車位置は、陽だまりでお願いします。
マイベストアイテムその3:焚き火
鉄板すぎて今さらですが。
寒いのに、冬も南房総に通う理由は、焚き火が好きだからだと言い切れます。
1年を通じて刈った竹、伐採した木などがうずたかく積まれっぱなしになっていますから、冬は燃料に事欠きません。そのまま積んでおくと草刈りの時に邪魔だし、積んでいる下からも草が生えてきたりすると材に絡みついて面倒が増すので、毎回ちょっとずつ燃やします。
1月にカマドができてから、これが食に直結。焚き火でできた熾火を使ってカマドで煮炊きするようにしたら、これがまた楽しい。
たかが焚き火ではありますが、やっぱりこれも回数を重ねると上手くなるもんで、火種から材に着火して熾火をつくる手順があります。勢いよくボーボー燃えているからといって放置していると、燃えやすいものは一瞬でなくなって拡散した小さな熾火がしょぼしょぼ残るだけになり、また1からやり直しなんていうこともあります。
この一部始終を見ていると、まったく焚き火って人生みたいだなーと思うんですよね。
一時的にぼーぼー燃やすのは、けっこうたやすい。でも持続して美しいフォルムの焚き火をつくるには、それなりの仕込みや、整え続ける手間が必要。ぼーぼー燃える楽しさと熾火の美しさは味わいがまったく違いますし、太くて密度のある着火しにくい材がしっかりと熾火になるときの感動は時間をかけないと得られない。
まあ、とはいえ、たかが焚き火なんですけどね!
輻射熱は、体を芯から温めるし、火を前にぼんやりと過ごす時間は、まったく無駄に感じません。毎晩焚き火をするような人生が送れたら、1日1日を納得して終えることができるんだろうなあと思います。
マイベストアイテムその4:暗い風呂&キャンドル
冬に限ったことでもないけれど、それに田舎暮らしに限ったことでもないけれど、個人的には、週末夜のこのひとときは何にも代えがたい癒しになっています。
必要なのは、キャンドルだけです。
で、お風呂の電気を消すだけです。
身体のこわばりがじわーっとほぐれて、お湯に疲れが溶けだします。
浴室が明るいと、「あーもっと痩せなきゃ」とか「そのタイルの入り隅の目地を掃除しなきゃ」とかいろいろ目につきますが、ひとまずそういうものは何も気にならない闇風呂は最高です。ものすごく拡大解釈をすれば、温泉気分です。
最初はキャンドルなしで、本当に真っ暗闇にして入っていたんですが、娘がそんなわたしを見つけて「ママがなんかすごく悩んでいるようだ」とえらく飛躍した解釈をして心配してきたので、「違うわよ!ムード出してんのムードを」とキャンドルで示すことに。
お星さまも見たいなと、窓を開けて楽しむこともありますが、一瞬でお湯が冷えるので15秒限定くらいです。笑。
外界が寒いときは、あったかいこと自体がイベントですよね。
週末のバスタイムくらいは、時間を気にせずに、ね。
マイベストアイテムその5:断熱された部屋
ついに、本丸です。
去年、南房総DIYエコリノベワークショップで断熱された部屋に、今年は暮らしていますけど、やっぱり家の中が温かいという安心感は手に入れるべきだなあと実感しているこの冬です。
屋根裏に羊毛断熱材を入れ、障子を断熱障子にし、床下も気密と断熱をしっかり施したところ、灯油ストーブ1台でしっかりと部屋が暖まるようになりました。
いや、実のところ「コタツがあれば、まあ寒くても耐えられるしな」と思っていたんですよ。毎年そうやってしのいできましたしね。ところが、部屋全体がちゃんと暖まると、やっぱり暮らしがぶりが変わります。
たとえば、中1の娘が三芳の家で勉強をするようになりました。
これまでは「この家だとやる気がしない」とかいって、コタツの中でちょっと宿題に手をつける程度で週末ノー勉が普通でした。まあ別にいいか、とわたしもあまり気にしていませんでしたが、今年は様子が違うんですね。
何でかな?中学生になってやること多くなったからかな?と最初は理由がよく分かりませんでしたが、先日気が付いてしまいました。
自分が、パソコンを広げて、仕事をしようと思った時に。
わたしもコタツだと仕事する気にならなかったんだよな。
でも、今の環境だと、意外とストレスなくやれちゃうんだよな。
それって、「手が冷えないから」だったんだな!!と。
コタツの最大の欠点は、コタツから出ている部位が冷える、ということだったのです。
部屋全体がしっかり暖まると、落ち着いて仕事や勉強に集中できる。あまりに当たり前のことですけれど、作業環境ってやっぱり大事だなとつくづく感じました。とりわけ、やる気スイッチを入れない理由を常に探している怠け人間にとってはね。
それから、変な話ですが、いつも冬の週末は便秘気味でしたが、それも解消されました。
そもそも大きな仕事の前はそうなりがちな体質で、おそらく寒い=身体がこわばる=緊張状態、ということなのだと理解した次第。
冬の寒い古民家暮らしは決して嫌いではなく、「さむーい」「外よりうちの中の方が寒い」とか言いながら部屋の中で白い息を楽しむのも一興だと思っていました。
ただ、あったかいって、いいもんですね!こればっかりは不可逆で、「また寒い部屋に住みたいなー」とはなかなか思えません。笑。
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さあ、これから冬本番。
わたしのように寒いの大っ嫌いで、末端冷え性で、なのに田舎暮らしをしているそこのあなた。根性でガマンするんでも、怠けて引きこもるんでもなく、ちょっとした発見と工夫で楽しいウィンターカントリーライフをお過ごしください!
今年もこのコラムをお読みいただき、ありがとうございました。
また、来年、お会いできますよう。