楽しみ方

前回の入門編に続き、今回はいよいよDIY実践編です。「ヘリンボーンデスク」を作ります。

自分の趣味の部屋に、雰囲気がぐっとグレードアップする作業台があると素敵だと思いませんか? 一枚板の天板でもいいけれど、ひとつひとつの木片を組み合わせて作るヘリンボーンスタイルの天板に仕上げると、格別の達成感を味わえます。

ヘリンボーンとは、「herring(魚のニシン)」の「bone(骨)」を意味する、柄の名称。形状が、ニシンを開いた状態の骨に似ていることから、この名が付いたそうです。

ヘリンボーンデスクの材料

ヘリンボーンデスクの設計図

今回製作するヘリンボーンデスクを設計図にすると、上図のようになります。少し小さめで、イスに座って何かの作業をするのに向いた高さです。

まずは、部材となる木材を用意します。木材はノコギリやマルチパワーツールを使って自分で切ってもよいですが、DIYに慣れていない人はホームセンターでカットしてもらうと効率的です。

材料リスト

天板 (シナベニヤ)376mm×776mm 厚5.5mm 1枚
ヘリンボーン柄用 (ヒノキ無節)30mm×12mm 長さ120mm  100本
横つなぎ (スギ)120mm×20mm 長さ286mm 2本
足置き板 (スギ)120mm×20mm 長さ710mm 1本
※長めであれば、組み立ての最後に長さを調整。
(スギ)45mm×45mm 長さ682mm 4本
頭つなぎ (スギ)45mm×45mm 長さ686mm 2本
(スギ)45mm×45mm 長さ286mm 2本
天板額縁 (ヒノキ無節)63mm×12mm 長さ800mm 2本
(ヒノキ無節)63mm×12mm 長さ376mm 2本
材料リスト

材料リスト

材料リストと併せて、事前に “木取図” を用意しておくとよいでしょう。規格サイズの木材から、どのようにカットして使うかをまとめたものです。今回の木取図は下記に用意しました。

ヘリンボーンデスク 木取図

木材は種類によってそれぞれ特徴があるので、何を選んでよいのか悩む場合はお店の人に尋ねてみましょう。木の特徴や購入の注意点は前回の記事でもご説明しています。今回は、天板にはシナベニヤ、ヘリンボーン用の木片と天板額縁にはヒノキ、脚やつなぎ用にはスギを使用します。

 

ヘリンボーンデスクの製作 前半:天板づくり

いよいよ作業に入ります。まずは天板からです。

 1. ヘリンボーンの柄用材をワックスで色づけ


今回のヘリンボーン柄は、前回ご説明した「アンティークワックス」を使用します。アンティークワックスを布に少量取り、ヒノキの木片の一面(テーブルの表側にくる面)を中心にして塗ります。ワックスは、ウォルナット、チーク、チューダーオークの3タイプのカラーを使用。絶妙にニュアンスの違う3つのカラーを交互に並べることで、味わいのある仕上がりになります。

15~20分後、ワックスが余分についた部分は乾拭きでふき取りましょう。しっかり磨くと光沢が出るので、ラフな感じにしたいときはあまり磨かずに。また、オイルのついた布は、燃えないよういったん水につけて処分しましょう。

2. ヘリンボーンの柄の位置決め

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ヘリンボーン柄をどう組むかを決めます。天板の端から143mm入ったところを貼りはじめとして印をつけ(設計図参照)、そこを基準にさしがねで45度斜め方向へ線を引きます。これが開始位置のガイドになります。少しわかりづらいですが、仮に柄を組んでみると、イメージが湧くはずです。

3. ヘリンボーン柄の固定 1


木片の内側にボンドを薄く塗り、ふたつの木片の内側同士をこするようにしてボンドを塗り合わせます。

4. ヘリンボーン柄の固定 2

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ボンドを塗ったら、2. で引いた線に添って木片を並べて貼っていきます。色の配置はお好みで。貼りながら表面にボンドがはみ出てきたら、濡らしたウエスでふき取りましょう。木片と木片の間に隙間がないように並べると仕上がりが美しく、使い始めてからの掃除が楽です。また、天板からはみ出す部分の木片はあとで切り落とすので、端のほうほどしっかり接着する必要があります。全部の木片を接着し終えたら、そのままの状態で1時間ほど置きます。心配な場合は、1日置けば完全に固まりますよ。

5. ヘリンボーン端の処理

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ここがヘリンボーンデスク作りの一番の山場です。ヘリンボーンの木材が完全に接着されていることを確認したら、天板を裏返し、ヘリンボーンのはみ出た部分を切ります。相当にノコギリ使いに自信がある人以外は、正確に切断するため、ノコギリ補助道具の「ソーガイド」を使用するのがおすすめですよ。

ソーガイドがズレないようにするため、カットする部分からソーガイドの幅分を空けた位置に、さらにガイドになる当て木を設置します。写真では、手が乗っている暗い色の木材です。この当て木に沿ってソーガイドをずらしながら切っていくことになります。木が用意できなければ、定規などの直線が出せるものでも構いません。写真を参考に、入念に位置合わせをして下さい。

この当て木と天板をクランプで固定したら、ノコギリの刃をソーガイドにはめ込んで、ヘリンボーンのはみ出た部分をカットしていきます。位置さえ決めてしまえば、難しい作業ではありません。とはいえ、少し根気が必要な作業です。慌てずじっくり取り組んでみて下さい。

 

ワンポイントアドバイス

ソーガイドの設置は念入りに行いましょう。カットする部分が1mmでもズレると、その後に取り付ける天板額縁との間に隙間ができてしまいます。丸ノコやマルチパワーツールなどの電動工具を使う場合は、ガイドをクランプで固定した後、一気にカットすることもできます。

 

ひっくり返すと、美しいヘリンボーンの天板がお目見え!

はみ出した部分の木材をすべて切り終えて、天板をひっくり返すと、とても美しいヘリンボーンスタイルの表面が表れます!

さあ、次回は、いよいよ最終工程。脚の土台と、ヘリンボーンスタイルの天板を組み合わせて額縁をつけます。自分だけのとっておきのデスクに出会えるまで、もうすぐです。

 

さかた ともえ

子どもが子どもらしく過ごせる場をつくる『こどもDIY部』代表。一級建築士。『こどもDIY部』では、モノだけにとどまらず、カフェやバンドなど、子どもが欲しいと思うものを随時制作。「料理を作るようにDIYで暮らしを楽しもう!」をコンセプトに、子どもから大人まで気軽に利用できるアトリエ『ワンダーボード』も運営。

撮影協力

KUMIKI PROJECT

東日本大震災以降、「奇跡の一本松」で知られる岩手県陸前高田市で始まったプロジェクト。「ともにつくるを楽しもう」をコンセプトに、家具や空間づくりなど住まいのDIYを学べる教室「DIYがっこう」を東京の早稲田で運営。国産材を素材に、「暮らしをつくる人をふやす」ことに取り組んでいる。

当記事において発生した一切の事故や怪我などの責任を負いかねます。製作には怪我の無いようお気をつけください。
※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。

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