暮らし術

八ヶ岳でスタイルのある田舎暮らしを実践している、友枝 康二郎さんのエッセイをお届けします。第2回は、友枝さんが作り上げた癒しの空間たちの紹介です。
第1回:車一台分の費用で、八ヶ岳ライフが始まった!〜友枝康二郎さん新連載

「八ヶ岳でスウェーデンスタイルのログハウス」という夢

昔話になりますが、僕と妻は、蓼科の女神湖のほとりにあった白樺高原教会で挙式を挙げました。
その後、結婚記念日には、八ヶ岳周辺のペンションに泊まるのが習慣になっていました。
そうこうするうちに、お互いに「いつかは八ヶ岳に別荘が欲しいね!」と思うようになったのです。

その夢のファーストステップとして、310万円という破格値で八ヶ岳に310坪の土地を手に入れました。それからは、どんな家を建てようかと毎晩妻と話しました。楽しくて現実可能な未来の暮らしについて語り合うので、夫婦仲も良くなります。

まず、建てる別荘は、山に似合うログハウスが良いねと言うことに。

29年前は、ログハウスというと大きな丸太のカナディアンログしかなく、とても高価でした。
それに、室内に入ると意外に狭くて重厚感がありすぎる。
デザイナーの僕の感性にはちょっとワイルドすぎました。
そんな時見つけたのが、北欧のログハウスでした。
角材のログで、かっちりしていてシンプルで、大きな北欧家具の様でした。
僕らの感性にもピッタリマッチしたので、これを建てる事にしました。
値段もカナディアンログの半分くらいでした。

そして、広い庭。これは310坪の土地があるので充分すぎるほど広い!

ウッドデッキがあること。スウェーデン製のログハウスには30㎡以上のウッドデッキが付いていました。

ガレージがあること。ログハウスには設定は無かったものの、後から追加できる。

吹抜けも欲しい。これもログハウスの半分が吹抜けでした。

 

田舎が「本宅」と位置づける

当時29歳で資金力もない僕らが東京で住まいを持つとすれば、都心では小さなマンション、一戸建てだと千葉や埼玉とかの郊外になってしまいます。

会社の先輩が郊外に家を買ったときには、遊びに行ったものの、なにしろ遠い。東京へ通うには2時間位かかります。この距離を毎日通うだけで、人生疲れてしまうなと思いました。
同僚が都心にマンションを買ったと聞いて訪ねると、立地は最高でしたが、なにしろ狭い。

しかし、八ヶ岳に住まいの場所を移せば、若い僕らでも可能な金額で、夢を実現できる。
29年前ですからあまり参考にはなりませんが、土地とログハウスで2000万円ちょっと。
頭金を入れてローンを組みましたが、毎月無理なく払える金額でした。都心でローンや賃貸で毎月払う金額より安いのです。

こうして、平日はその時に住んでいた傾いた古屋に我慢して住んで、週末には八ヶ岳のログハウスへ通うという、風変わりなバランスの別荘ライフが始まりました。

これを普通の方のケースに置き換えれば、都心では寝るだけの小さなマンションか賃貸アパートに住んで、田舎に僕の様な理想の家を建てる、ということになると思います。
理想的に暮らせる田舎の家を「本宅」として位置づけるのです。そうすれば、案外夢が現実的になってくるんですよ!

 

多目的に使えるガレージ

我が家の北側。二つのガレージがあるので、とても便利です。

まず、最初に取り組んだのはガレージです。
我が家には現在3台の車と2台のバイクがありますが、土地が広いので、ガレージを造るスペースも充分にあるのです。

メインの車である、Mini Crossover ALL4。
ライフスタイルを演出する、HONDA S660。
田舎暮らしでは必至アイテム、SUBARU サンバートラック。

友達の大工さんと一緒に玄関前の屋根だけのガレージと、壁の付いたガレージをそれぞれつくりました。屋根ガレージは、常時使う車を駐車。雨の日のバーベキューの場としても活用しています。壁の付いたガレージは、大工仕事を擦るときには工房としても活用出来ます。多目的ホールとも言えるでしょう。

 

何よりも庭が広い!

土地の南側から見た我が家。様々な自生する木々に覆われています。

八ヶ岳に暮らして最高と思えるのは、なによりも庭が広いことです。
当時住んでいた東京の古屋の敷地は25坪でした。東京大田区で25坪の土地というのも立派です。
でも、八ヶ岳の土地は310坪!東京の土地の12.4倍!そこに一戸建てなのですから290坪が庭です。
都心では公園レベルですね。この庭で、毎年MORISHの仲間たちと50人ぐらいでバーベキューをやるのですけど余裕です。皆さん、好きな所で寛いでいます。

東京の家ではコンテナガーデンしか出来なかったガーデニングが大好きな妻は、こちらでは思いのままにバラなどを植えています。規模的にはランドスケープデザインと言えるかも!なので、我が家の庭は作り込まずに、この土地の植生を活かして、そこに彩りを添えてあげるという、ワイルドガーデンです。

 

玄関ポーチをちょっとしたリビングルームに

玄関ポーチには、応接用のテーブルと椅子、ベンチを置いています。

スウェーデン製のログハウスは、北欧向けのままの仕様でした。
玄関に雪が落ちてくる屋根になっていたので、屋根を伸ばしたついでに、ちょっとした玄関ポーチにしました。
このスペースはとても便利です。ちょっとした接客にも使えるし、薪をストックしておくことも出来る。ここだけでも12畳以上あるので、ちょっとした部屋です。
こうした、ゆとりの空間が気楽に持てるのも、八ヶ岳ライフのたのしみですね。

 

全てパイン材の内装

切妻屋根の形状に合わせた天井の吹抜け。山小屋って言う雰囲気が出るんですよ!

ログハウスの良い所は、壁床天井が全て無垢のパイン材という事です。
L.L.Beanのフルサイズのソファーベッドも余裕で設置出来るし、オーディオの音響も、部屋全体がスピーカーになったような感じです。

 

冬こそ快適なサンルーム

外と室内の間にあるサンルーム。第二のリビングとしてオールシーズン活用。

我が家にはサンルームがなかったので、ウッドデッキがあったところをサンルームに改装しました。
冬の晴れた日には、サンルームの室温は20度を超えます。外はマイナス7度なんですけど、太陽の光だけでポカポカになるのです。冬の晴れた昼には、サンルームで昼食を摂ります。夏も冬も洗濯物を干すのにも重宝します。
八ヶ岳ライフでは、無理をしてでもサンルームを作る事をオススメします。

 

憧れの薪ストーブ

冬になれば、薪ストーブの前にソファーベッドを移動して、楽しみます。

ログハウスに薪ストーブというのは、最初からやりたかった事です。
薪ストーブは遠赤外線なので、まるで家の中にお日様があるような感じです。
冬の寒い時期、薪ストーブの炎が何とも頼もしく暖かい。
昼は雪景色を眺めながらコーヒーを飲む。
夜は薪ストーブの前で、炎を眺めながらまどろむ。
幸せなひと時です。

さらにいいのは、東京から帰ってきた時!
僕は、12年間東京へ通うデュアルライフをしました。
金曜日の夜、我が家へ帰ってくると、暖かな薪ストーブの炎が迎えてくれます。
書斎で鞄を置き、ダウンパーカーを脱ぎ、Kitchenに行って、シングルモルトのオンザロックを作る。
チーズなどの摘まみを見繕って、薪ストーブの前へ腰を下ろして寛ぐ一時は、八ヶ岳に帰ってきたという至福の時間。
人生を思い描くように愉しむって、こんな生活なんだなあと実感します。

八ヶ岳ライフ、いかがでしょうか!
東京に住まいを持とうとしたお金で、八ヶ岳の土地と家を手に入れる事が出来ました。
二十歳の頃に思い描いた以上の暮らしを、今過ごしています。
もし貴方が、田舎暮らしに憧れていて、思い描くような暮らしをしてみたいのであれば、「本宅」を田舎に建てれば良いのです。
最初から完全移住など考えなくて良いのです。最初は別荘として活用すれば良いし、住みたくなったら住めば良いのです。

 
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※本記事は、友枝康二郎氏の知識と経験にもとづくもので、わかりやすく丁寧なご説明を心がけておりますが、内容について東急リゾートが保証するものではございません。
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