セカンドハウスの生活や移住生活を楽しむ方々にお話を伺う「Villaの達人」シリーズ。前回に引き続き、複数の企業で経営に携わり、楽天株式会社の代表取締役副社長に就任した経歴をもつ島田亨さんのインタビューをお届けします。熱海市でのセカンドハウス生活の魅力とは?
モダンでありながら温かみのある空間に
──こちらのお宅に足を踏み入れたとき、まるで会員制のホテルかレストランのような雰囲気を感じました。コンセプトは「非日常でありながら、日常を感じられる空間」とのことですが、設計士のかたとはどのように話を進められたのですか?
初めに設計士さんから提案されたプランは、今よりクールモダンなテイストだったんです。たとえば、玄関を開けてすぐに海の景色が目に入るのは、ワクワク感を得られて素晴らしく、その演出のためにリビングに下りるための階段は、ガラス製になる予定でした。でも、それだと、万が一割れたら怖いし(笑)。クールな感じよりも温かみが欲しいと思ったので、木製に変更してもらいました。
住まい作りにはパートナーが必要。二人三脚でより楽しめる
──たしかに。木製の階段だと、リビングに向かうときに、高揚感と同時にリラックス感も味わえますよね。それから、階段や廊下の所々に絵画が飾られていて、こちらもとても素敵です。
アート選びは、空間作りを担当してくれたアルフレックスのコーディネーターが一生懸命やってくれました。たとえば、7カ所ほどのギャラリーに保管してある在庫を把握して、そのうちの4カ所のギャラリーを一緒に回り、気になる作品をひとつひとつ見て吟味したり。コーディネーターが出してくれる選択肢をもとに、議論を重ねながらよいものを探す工程はとても楽しかった。アートだけでなく家具全般においてもそうですが、アイテムを選ぶ作業を私ひとりで行うのは大変です。二人三脚で動けるパートナーがいたことには大変感謝しています。
──住居を作るにあたっては、パートナーの存在は重要なのですね。
そう思います。ですから、ご夫婦で別荘をもつことを考えているかたは、おふたりで一緒にプランを練って形作られるといいのではないでしょうか。たとえば、奥さまに、昼間動く時間が少しあるのだとしたら、旦那さんと話した内容をもとに奥さまが下見に行って、週末には改めてふたりで見に行くなど。そういう作業を共同で行うと、住まいをもつことがより楽しくなるし、完成してからも一層大切に使うと思うんです。
──なるほど。こだわりをもってパートナーと力を合わせると、住まいはより豊かなものになるのですね。こちらのセカンドハウスが完成して1年が経ったわけですが、今は、週に何日ぐらいのペースで熱海にいらっしゃるのですか?
週に2日ほどの割合ですね。平日の夜にここに来て、翌朝には東京に仕事で戻ることもありますが、多くの場合は週末に熱海に来ます。
熱海には、おいしい食べ物がたくさんあるのも魅力
──熱海には、海の幸をはじめ、おいしい食べ物がたくさんありますよね。食生活も豊かになるのでは?
そうですね。熱海は歴史が長いので、新鮮な海の幸を食べさせてくれる居酒屋さんや、昔ながらの洋食屋さんなど、魅力的なお店がたくさんあります。実は「行きたいお店」のリストを作っているのですが、まだまだ全部行けていない状態なんです(笑)。ひとりで気軽に訪ねられるお店がふんだんにある点は、ありがたいですね。これが、もし、家を建てた場所が海の半島に位置していて、気の利いたお店やコンビニに行くのに車で20分ほどかかるところだとしたら、何かと億劫になりますから。この熱海の家は、買い忘れたものがある場合、原付バイクに5分ほど乗れば用事が済みます。
──地元の食材を使って、こちらの家で料理を作ることはあるのですか?
時々作りますよ。自分でできるのはサラダぐらいですけど(笑)。たとえば、レタスとクレソン、ルッコラ、プチトマト。それからベーコンの角切りを軽く焼いて焦がして、野菜のうえにパラパラっと乗せてね。そのサラダと一緒に、焼きたてのパンと白ワインを合わせていただくだけで充分です。プールサイドのテラスでのんびりと、海を眺めながら食事をする時間は最高ですね。
この家の存在をきっかけに、コミュニティがよりアクティブに
──お友達が遊びにいらして、一緒に食事を楽しむ機会も多いそうですね。
ありがたいことに、いろいろな友達が入れ代わり立ち代わり足を運んでくれます。こういう場があると、しばらく会えていなかった友達がご家族やご友人を連れて来てくれるんですよね。この家の存在をきっかけに、自分自身のコミュニティがよりアクティブになって、このことも嬉しいです。大勢の友達が来たときは、地元のイタリアンレストランにケータリング兼バーベキューをお願いしたり、あとは、シェフをしている友人が月に1回ほど来てくれるので、彼らに料理をお願いすることもあります。
──この家をもつことで、生活自体がだいぶ変わられたのではないでしょうか。
変わりましたね。仕事とプライベートの時間を、自然とうまく切り替えられるようになった気がします。以前は、疲れが溜まってくると、マッサージによく行っていたんです。マッサージ屋さんが憩いの場でした(笑)。でも、今は全然行っていません。不思議なものですね。
──今後、「この家をもっとこういう風に変えていきたい」などの希望はありますか?
大きい点はあまりないですね。土地探しも設計も内装も、すべてにおいて細かいやりとりを重ねて作り上げたので。「こうしておけばよかった」と後悔していることはありません。ただ、ゲストルームだけは、あと1部屋増やそうかなと思っています。現在ゲストルームは2部屋あるのですが、どちらも、いったん廊下に出ないとバスとトイレを使えないんです。その点は、お客様にとっては不便だと思うので、今倉庫代わりに使っているスケルトンの部屋を、バスとトイレと簡単なジム付きのゲストルームにしようと思っています。
別荘やセカンドハウスは、何のために使うのかを明確に
──1部屋だけ、何も手をつけていない部屋を残しておくのはいいアイデアですね。
そうですね。実際に暮らしてみないと、使い勝手はわからないですから。生活スタイルによって、必要な部屋は変わってきますし。それから、当初考えていたよりもお客様の数が多いのも予想外でした。なので、テラスのスペースをもう少し広くしておいたほうがよかったのかなと(笑)。
──セカンドハウスや別荘をもちたいと思っている人に、何かアドバイスはありますか?
何のために使うのかを明確にするといいと思います。ライフスタイルは、30代、40代、50代と、年齢を重ねるごとに変わってくるので、まずは自分のライフスタイルをどうしたいのかを知ることが大事でしょうね。何となく、オシャレでかっこいい物件が売りに出ているから買っておこうと思うのはやめたほうがいいです。その場合、最初だけ使って、そのうち足を運ばなくなる可能性は大きいので。
──土地や物件を探すときは、焦らないことも大事なような気がしますね。
そうですね。私はこの場所に出会うまでに3年かかりましたから。不動産はご縁です。探している途中で、ここでいいかなと妥協してしまっては、後悔することになるのではないでしょうか。いろいろな場所を見れば見るほど目は肥えますから、納得いくまで見るといいと思います。そうすれば、ピンとくるところに出会えて、自分だけのとっておきの憩いの場を作ることができますよ。
「【オーナーインタビュー】非日常でありながら日常を感じられる、熱海のセカンドハウス 島田亨さんの場合 前編」はこちら
撮影:内田 龍