八ヶ岳で “スタイル” のある田舎暮らしを実践している、友枝 康二郎さんのエッセイをお届けします。第7回は、その短いけれども活気溢れる、夏、について。
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八ヶ岳という高原生活にとって、夏至と冬至というのが大きな季節の節目となります。
夏至を迎える6月後半、日没の時間が一番長くなり、夕焼けも燃えるような景色に息をのむ事もしばしば。
5月半ばからの新緑もピークを迎え、梅雨でグングンと育ち、ライムグリーンから濃い緑へと深みを増し、7月、8月の盛夏へ向けて森が生命の息吹で満ち溢れます。
高原地帯の短い夏を如何に過ごすかが、楽しみの一つなのです。
八ヶ岳といえば、山。そして高原の「ミーティング」
夏の過ごし方と言えば、外でのイベントです。6月の阿弥陀岳開山祭で登山シーズンの到来。
僕は、原村観光連盟の副会長なので、阿弥陀岳の山頂で閉会の挨拶をする為、毎回登ります。この登山口は、我が別荘地からすぐの所にあり、かなりの上級者コースです。事故で、足腰を痛めている僕ですが、頑張って登ると絶景が待っています。ハンディーを抱えた身には辛い登山なので、来年は無理かなあと思うのですけど、あの山頂からの絶景を思うと、1週間もすればまた登ろうと思っています。八ヶ岳ライフの夏をより楽しむには、登山は必修科目です。登るのに優しい山もありますから、自分の技量に合わせて登られると楽しいですよ。
7月になれば、さまざまな祭りやイベントがあちこちで開催され、普段静寂な高原地帯も都会から人が集まり賑やかになります。
原村では、6時30分から8時頃まで高原朝市が開催されます。新鮮野菜や手作りクラフトなどが出店していて楽しい市です。早起きして、朝霧の小道を歩いて行くと、淹れたての珈琲の香りがしてきます。僕の知人が自家焙煎のコーヒーショップを出店しているのです。この日の朝に食べる新鮮野菜やジャム、チーズなどを買って家に戻り、おいしい朝食をいただきます。朝市は9月まで開かれ、終わると秋の訪れを感じます。
3回目で紹介しましたが7月に「Highland Gathering」というビンテージバイクと車のイベントが八ヶ岳自然文化園で開催しています。オシャレな高原ライフを満喫する趣味の提案です。今年で5回目になり、首都圏を中心に近郊から世界でも珍しいような博物館クラスのマシンが集まり、高原でのオシャレな一時を満喫します。
芝生広場に展示されたビンテージバイクや車の雰囲気は、まるでヨーロッパ。高原ライフとビンテージバイクや車は、とても相性が良いのではと思います。
イベントのフィナーレは、自走できるマシンで、僕のお気に入りのワインディングロードをみんなで走ります。途中のおいしいアイスクリーム屋に寄ったり、景色の良い場所で撮影大会をしたりして、楽しく走ります。参加者の皆さんは、「最高に気持ち良くてステキです!」と、笑顔で答えてくれます。
また僕の生業である、田舎暮らしプロデュースのMORISHでも、BBQやGardenPartyを開きます。
参加条件は、料理と飲み物をそれぞれ持ち寄り、お互いにシェアして楽しむ事です。色んな食材と、おいしい飲み物も集まり、初めは初対面の方もいたりするのですが、1時間もすると、みんな仲良くなり、あちこちで笑い声が聞こえてきます。それぞれ別の所から集まった見知らぬ人たちが、八ヶ岳の地で新たな交流が生まれていく。人生は二度楽しい、と言える一時です。
地元の人とのふれあい
8月になれば、お盆休みを中心に、各地区で「小宮祭」の盆踊りがあります。子供が小学生だった頃は、同級生のいる地区に呼ばれて、お祭りに参加したりしましたが、地元の方々との交流は、ほっこり温かいモノがあります。
原村では村人の老若男女が集まって「よいしょ祭り」も開かれます。昼間はさまざまなマーケットがあり、縁日の様です。他にも伊豆エリアの姉妹都市との交流や親子参加型の競技などもあったりとのんびりとした楽しい一時です。盆踊りが始まると、なんだか夏も段々終わっていくんだなあと郷愁を感じます。
こうした地元の祭事に参加することは、その歴史を知ることにもなり、ますます原村が好きになってきます。
八ヶ岳・夏の夜のイベント
諏訪湖の花火大会
お盆の時期は、なんと言っても諏訪湖の花火大会が一番でしょう。数十万の人出があり、湖上の島から打ち上がる花火は、湖面に映って更に綺麗です。花火大会の日は何処に陣取るかが競い合いです。穴場のすいているところをうまく見つければ、そこにシートを敷いて確保します。
それから縁日の屋台が並ぶところへ行って、たこ焼きやフランクフルトなど、腹持ちのよいモノを買って、花火が上がるのを待ちます。目の前に上がる大きな花火は、なんだか「銀河鉄道の夜」のような世界観を感じます。
その前日、日本最大級の岡谷太鼓祭りもあり、300もの和太鼓の連打は、日本人の心を揺さぶる感動です。太鼓の音を聞き心が奮い立ってくると、日本人で良かったと実感します。
星空の映画祭
八ヶ岳自然文化園では、星空の映画祭も夏の間上映されます。
野外音楽堂の大スクリーンで上映される映画のスクリーン。星空と繋がっているんです。昔、ここで見た「未知との遭遇」は、スクリーンの星空が本当の星空と繋がっていて、もの凄くリアルでした。本当にUFOが飛んでくるのではと思える臨場感でした。
ガーデニングと、空
また、夏はガーデニングの楽しい季節でもあります。
春が遅い高原地帯の八ヶ岳山麓では、4月の後半に山桜が咲き、5月の半ば頃から新緑が芽吹き始め、6月初旬にかけてさまざまな花が咲き誇ります。
八ヶ岳山麓には、花の苗の生産農家が直売所も開いていて、夏に向けてのガーデンの植え込み用に苗や樹木を選びに行くのも楽しみの一つです。
自宅のサンルームや庭に作ったツリーテラスで寛ぐのも最高に心地良いです。高原リゾートの夏は湿度が少なく、日陰はひんやりしています。飲み物や食べ物を持ち込んで、好きな書籍をのんびりと読んでみましょう。
そして、夕暮れの時間になれば、景色が開けた畑が広がる地域まで出掛けて見ましょう。冒頭に挙げた通り、夏ならではのダイナミックな夕焼けが見られます。息を呑むような美しさです。
夜になれば、満天の星空が広がります。星座表を出して、夏の星座を観察しても楽しいです。原村の星空は、視力の良い方でしたら、6等星まで見えるかもしれません。星をもっとステキに鑑賞するなら、ブランケットと温かい飲み物をポットに入れて、牧場に出掛けて見ましょう。ブランケットにくるまり仰向けに寝れば、リアルなプラネタリウムです。満天の星空を長めながら、流れ星の数を競い合うのも楽しいですよ。
以上、思いつくものいろいろを挙げてみました。八ヶ岳の夏は、とても心地良いので、ボーッと暮らすのも良いのですが、短く貴重な時期なので、外で楽しむ事を、可能な限り体験するのが良いと思います。お祭り、イベント、BBQ、登山、ツーリング、近郊へのプチ旅行、星空、ガーデニング、DIYなど、高原ライフを豊かに遊び尽くしましょう。
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