不動産・リゾート物件にまつわるテーマについて、専門家に聞くシリーズ。今回は、別荘やリゾートマンションなどの記事を書かれている、平野ゆかりさんの記事をお届けします。
セカンドハウスが購入しやすくなってきた!?
セカンドハウスというと、暑い夏を高原別荘で涼しく過ごしたり、青い海を眺めながらマリンスポーツを楽しんだり、スノースポーツに興じたり……といったイメージがあります。ひと昔前ですと、資金に余裕のある富裕層のみが手に入れられる贅沢な世界。軽井沢、蓼科、箱根、熱海など、ブランドのリゾートでは購入価格も高額で、維持管理にも費用がかかるため、庶民には手の届かない高嶺の花でした。が、バブルが崩壊。リゾートの新規物件が減少したことに加え、バブル期の物件は築年数の経過もあり、手の届きやすい価格へと推移し、今に至っています。
もっとも、以前と違うのは、新しい動きが生まれているということ。
きっかけは2011年の東日本大震災。「万が一の災害に備えて、もう一軒の家を持つ」というシニア層の新たなニーズと、IT産業の発達により「2拠点・多拠点居住」というライフスタイルをめざす働き盛りの若い人たちが登場したことです。
価格が下がって求めやすくなっているなか、恵まれた自然環境に立地するリゾート物件へのニーズは高まりを見せています。
そこで、リゾート物件を「一戸建て別荘」と「リゾートマンション」に大別。両者のメリットやデメリットを検証してみましょう。
「一戸建て別荘」の特徴とは?
プライバシーを保てる
一戸建て別荘を求める場合、都会の喧騒から離れて、静かな時間を過ごしたいと考える方が多いようです。土地の面積が広いうえ、建ぺい率や容積率は制限されていますから、隣接する建物とも十分間隔があります。緑陰のなかで読書をしたり、音楽を聴いたり、家族とバーベキューをしたり。自由に自分の時間を過ごすことができるのは、一戸建て別荘の大きな魅力です。
非日常空間を楽しめる
注文住宅で設計は自由自在。眺望を重視する大きな窓やハイサイドライト、屋外とつながるワイドなデッキや露天風呂……。土地の良さやオーナーの趣味を反映した一戸建ての別荘は、写真を見ているだけでもため息が出てしまいます。都会ではかなわなかった非日常の空間。広い土地と豊かな自然があるからこそ叶う空間を手に入れる、これは一戸建て別荘ならではの贅沢でしょう。
ペットとの暮らし
最近はペットと泊まれる宿泊施設も増えきましたが、やはり一戸建て別荘にはかないません。ペットと家にいるときと同じように過ごしたい方には一戸建て別荘がおすすめ。敷地内はもちろん、広い別荘地のなかを愛犬とのんびり散歩される別荘オーナーなどの姿は多くみられます。おいしい空気と自然は、人間にとっても動物にとっても心地いいもの。ストレスフリーにつながります。
マイ温泉や家庭菜園を持つ
温泉目当てでセカンドハウスを購入される方もいます。泉質のいい源泉のある別荘地では、温泉を引き込めることを売りにしていることが多く、思いのままに温泉を堪能できます。宿泊施設などでは時間に制限がありますが、自宅の場合は時間制限なし。お風呂にこだわるオーナーが多いのも事実です。
同様に、野菜づくりは根強いブーム。別荘地を歩いていると、庭先の一角に野菜を栽培している風景をよく見かけます。収穫した採れたて野菜はおいしいだけでなく、育てる作業で家族のコミュニケーションも深まります。
家屋のメンテナンスが必要
管理事務所がある別荘地の場合は、管理費が発生しますが、これはあくまでも共用的なものの管理と考えましょう。経年変化で発生する家屋の傷みは自己負担です。雪が積もるエリアでは屋根や外壁、デッキなどは傷みやすくなりますから、首都圏の一戸建てより早い周期での塗装が必要になるケースもあります。オーナーのなかにはDIYが趣味になる方も多く、自分でやってしまわれる方もいらっしゃいます。あまり大きな建物を避け、平屋にすればメンテナンスしやすくなります。あらかじめメンテナンスフリーの外装材を用いるのも効果的です。
「リゾートマンション」の特徴とは?
管理がしやすい
毎月の管理費や修繕積立金はかかりますが、共用部分の清掃などは不要ですから、管理がしやすいことが大きなメリットです。自宅が庭付き一戸建ての場合、「庭の草ぬきが大変だから、ここに来てまでそれはしたくない!」という理由でマンションを選ぶ方も多いようです。共用の温泉浴場を完備したマンションですと、自分の部屋のお風呂を使わずに済みます。冬場など駐車場や玄関まわりの雪かきに悩むこともありません。
利便性の高い立地
マンションは戸数が多いだけに、良い立地を確保しやすいのもポイントです。海や山の眺望の良さを生かした立地のよい物件は中古になっても人気です。価格は高くなりますが、熱海や軽井沢の場合ですと、駅から歩け、車なしで利用できる物件も探せます。リタイアまで数年あるので、都心の生活を中心にしながら週末に気軽に利用したい——、また、高齢の方が首都圏でも便利なところに住み替えるように、徒歩圏に買い物施設や医療施設が揃うところで住みたい——、そんな方はマンションが便利でしょう。
大規模物件には共用施設が充実
リゾートマンションの大規模物件には、大浴場やプール、スポーツジム、ドッグラン、眺望テラスなど多彩な共用施設が用意されているものもあります。自分のライフスタイルにあった施設の場合はオトク。ただ共用施設の維持のために管理費が高くなることも多いので、その見極めも大切です。
自分にあったセカンドハウスを手に入れるために
気になる価格ですが、先にも説明したように価格は求めやすくなっています。リゾートマンションの場合、築年数が気にならなければ800万円前後の物件も豊富です。土地を購入して注文住宅を建てると高額になりますが、建物を小さくおさめるなどすれば予算を抑えられます。このほか、建売一戸建て別荘もあります。売り主が別荘地の開発業者である場合、その土地の風土や気候を熟知しているため、価格的にも割安感があるだけでなく、建物のメンテナンスなどが手厚く安心といえます。
一戸建て別荘も中古物件は豊富です。ただ、同じ物件はありませんから、購入後のリフォーム費用も予算に含めておきましょう。
また、最近は田舎暮らしがブームになっています。管理費などのランニングコストを節約したい場合は、別荘分譲地でないエリアで土地や空き家を探すのもひとつの方法です。ただ、別荘地以外の土地では地域とのコミュニケーションを避けて通れないので、田舎暮らしがしたいのか、わずらわしいことから離れてゆったりくつろぎたいのかを考えましょう。
セカンドハウスを持つ場合は、何をしたいかが大事。自分のなかでイメージを明確にすることで、愛すべきセカンドライフを手に入れることができるはずです。
※本記事は、平野ゆかり氏の知識と経験にもとづくもので、わかりやすく丁寧なご説明を心がけておりますが、内容について東急リゾートが保証するものではございません。