こんにちは。沖縄在住の編集者でセソコマサユキと申します。僕が「なぜ」移住をし、「どうやって」沖縄で暮らしているか、そんなことを紹介する当コラム。今回は四季を感じにくい沖縄で、短い秋を楽しんだ日のこと。
暑い日が続いた沖縄
気がつけばもう12月。時間が経つのはなんて早いことか、と言いつつも、つい先日まで半袖、上着なしで過ごしていた沖縄。今年はなかなか気温が下がらず、11月になっても日中は汗ばむような陽気が続いた気がします。
沖縄はソメイヨシノなど、いわゆる日本的な桜が咲かないし、秋の紅葉もほとんどない。年間を通して、風景の変化に乏しいから、四季を感じるのがなかなか難しいのです。
それでも6回目のコラムで紹介した5月の頃の「うりずん」だったり、その時々の季節感を楽しもうとする美しい沖縄の言葉はあって、そんな言葉に触れると、少し嬉しいような気持ちになります。
さて、10月頃になってようやく気温も下がり始め、台風シーズンも一段落すると、沖縄はとても過ごしやすい気候になります。冬にかけては曇天が多くなるのですが、晴れれば日中はまだまだ暑さを感じる一方、風は少しひんやりするようになって、朝晩は上着を着ないとちょっと肌寒く感じるほど。でも、ながーい夏を乗り越えてきた沖縄の人々にとっては、外で遊ぶには格好の季節。
沖縄では外でバーベキューすることをビーチパーリーというのですが、真夏よりも、10月、11月頃の方がビーチパーリーをするのに過ごしやすくてオススメなのです。
キャンプで短い秋を楽しむ
外で遊ぶ、ことの一つがキャンプです。本島北部にはキャンプ場がいたるところにあるし、大きな公園にはオートキャンプ場(自動車をそばに乗り付けられる)が併設されていて、テントからBBQセットまでレンタル機材もしっかりしているので、アウトドア初心者でも気軽にキャンプを楽しむことができるのです。
そんなわけで、我が家も友人一家とキャンプを初体験。テントからBBQのグリル、テーブルにアウトドア用の椅子まで一通りをレンタルして、慣れない手つきで設営。あとはいつものBBQの要領で、晩ご飯を楽しむだけ。設営時は日差しが暑かったけれど、日が暮れるにつれて海からの風が心地よい。テントで寝る、っていうのも子どもたちにとってはなんとも特別で、良い時間を過ごせた様子。
沖縄の自然のポテンシャルを実感
そして先日、「やんばる野外手帖」なるものを初体験してきました。「やんばる野外手帖」とは、沖縄本島北部に広がる「やんばる」地域で、自然を守りながら畑作りに励む農家や、そんな地の食材を活かす料理人などが集まり、「食」を通してやんばるの魅力を発信する「やんばる畑人(ハルサー)プロジェクト」が提案する、自然と食が体感できるコンテンツです。
夕方ごろにぼちぼちと名護市内のビーチに集合。まずは沖縄伝統の帆掛け船「サバニ」に乗って、海をお散歩します。
海の上を滑るように進むサバニ。サバニから海へ飛び込んだら流石にちょっと寒かったけれど、海上から沈んでいく太陽を眺めながら過ごす時間は、なんとも形容し難い幸せな時間でした。
ビーチに特設されたテントは、おしゃれに装飾されていて、キッチンでは地元の料理人が腕を振るいます。いつの間にか三線を爪弾く唄者(うたしゃ)も加わっていて、奏でるメロディと波の音がBGMに。料理が出ては歓声をあげ、少しお腹が満たされると、子供たちと一緒に波打ち際まで歩いていたり。
電車がない沖縄では、「参加者全員がお酒を楽しむ」ということがほとんどないのですが、キャンプしかり、この日も近くに宿を取っていたので、気兼ねなくみんなでお酒を楽しむことができたのも嬉しかったこと。テントから少し離れた場所では焚き火をしていて、食事が終わったら、揺らぐ炎を眺めて過ごしました。
サバニの上やビーチから感じた海、沈んでいく夕日に、地元の食材がふんだんに使われた美味しい料理。
そしてそれらが与えてくれた時間が本当に豊かで、自然を含め、やんばるという「地」の持つポテンシャルを強く感じました。今までキャンプなど、外遊びを全然していなくて、もったいなかったな。過ごしやすい沖縄の秋を狙って、これからはもっと外遊びをしようと思ったのでした。
さて、沖縄の日々の暮らしをお届けしてきた当コラムも、今回で最終回。少しでも沖縄の魅力が届いていたら、そして沖縄に来ていただくきっかけになることができたら幸いです。またいつか、どこかでお目にかかれる日を楽しみに。短い間でしたが、お付き合いいただいた皆様ありがとうございました!
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