別荘地として130年の歴史をもつリゾート地、軽井沢。
40年間、地元から軽井沢の魅力と本質を伝え続けている「軽井沢新聞社」編集部が、春・夏・秋・冬と、季節折々の美しい表情と楽しみ方をご紹介しています。
3回目は秋編。9月、都会ではまだまだ残暑厳しい時期ですが、軽井沢ではススキが風に揺れ、沿道のコスモスが咲き、すっかり秋を感じます。秋深まる10、11月は山々が黄色や赤に色づき、キノコや新そばなど、この時期ならではの旬の味覚がたくさん登場します。ハイシーズンが終わり、静かなリゾートにはゆったりとした時間が流れます。音楽や芸術のイベントはもちろん、マラソンやテニスなどスポーツ大会も開催され、夏とは一味違う軽井沢を楽しむ人でにぎわいます。
秋の軽井沢の自然と味覚
1.味覚の秋に「新そば」を堪能
新そばは6月から8月にかけて収穫される「夏新」と10・11月に採れる「秋新」があります。夏よりも秋の新そばの方が、香りが高く、風味も豊かと言われています。
そばの栽培地でもある軽井沢には、手打ちそばの名店が数多くあり、「軽井沢新そばまつり」も開催されます。そば好きの有志による軽井沢産そばで打ったもりそば、かき揚げそばを味わえます。
2.軽井沢の紅葉スポット
・雲場池
軽井沢の紅葉スポットと言えば、誰もが名前を挙げる場所。紅葉シーズンにはモミジの枝が湖面に映り、色鮮やかな景色が楽しめます。
・塩沢湖
赤だけでなく、黄色に色づく木々も多く、多彩な秋の表情を楽しめる湖。畔にある洋館「睡鳩荘」が古き良き軽井沢の時代を感じさせ、ヨーロッパを思わせる風景も人気です。
・めがね橋
軽井沢駅から国道18号線を群馬県方向へ向かうと、旧信越本線の碓氷第三橋梁が見えます。レンガ造りのアーチ橋は、通称めがね橋と呼ばれています。
3.軽井沢からちょっと足をのばしてドライブ 〜東信濃の「千曲川ワインバレー」
軽井沢から車で30分。東御市を中心とした千曲川沿いにはブドウ畑が広がっています。「千曲川ワインバレー」と呼ばれるこのエリアは、降雨量が少なく、日照時間が多いのでブドウ作りに適していると言われています。エッセイストの玉村豊男さんやソムリエの田崎信也さんにより2003年に初めて日本に導入された「原産地呼称制度」で千曲川ワインバレーのワインは品質が向上し、今では全国区に。ブドウ栽培者やワイナリーが急増して目覚ましい発展を見せています。
山梨県の甲州ワインは日本のブドウが主流ですが、東御市のワイナリーは欧州系のブドウを栽培しています。赤ワインのメルロやピノ・ノワール、白ワインのシャルドネなど本場フランスと同じ品種を栽培。酸味がしっかりとしたエレガントな味わいが評価されています。
おすすめワイナリー
ヴィラデスト
千曲川ワインバレーの立役者で、エッセイストの玉村豊男さんが始めたワイナリー。ワイナリーの見学はもちろん、併設レストランでは自家農園の採れたて野菜を中心としたフレンチが楽しめます。
アルカンヴィーニュ
ワイナリーだけでなく、ブドウ栽培やワイン醸造に関する情報を集めたアカデミーでもあるアルカンヴィーニュでは、製造過程の見学や試飲なども気軽に体験できます。テイスティングセットは5種類1,000円とお得。
リュー・ド・ヴァン
シャルドネやソーヴィニヨン、メルロなどを栽培、醸造までを行う人気のワイナリー。カフェ・ショップは土日のみの営業で、気になるワインと季節限定メニューが味わえます。
軽井沢秋のイベント情報
文化イベントはもちろん、紅葉の見ごろを迎える秋ならではのトレッキングツアーが開催されます。
1.千住博・秋冬展
日本画家千住博が描いた秋~冬の季節にちなんだ新旧の名作を紹介。震災復興の祈りを込めたタイル画も展示している。
- 期間:開催中~12月25日まで
- 場所:軽井沢千住博美術館
- 料金:1,200円 電話番号:0267-46-6565
2.不思議の国のアリス展
多くの画家によって描かれたファンタジー『不思議の国のアリス』の原画や初版本などを紹介する。
- 期間:開催中~10月2日まで
- 場所:軽井沢絵本の森美術館
- 料金:900円
- 問合せ:0267-48-3340
3.前橋汀子カルテット
前橋汀子をはじめ、日本屈指の弦楽奏者が奏でるオール・ベートーヴェン・プログラム。
- 期間:9月30日(土)15:00~
- 場所:大賀ホール
- 料金:2,000~5,000円
- 問合せ:0267-42-0055
4.森山良子コンサートツアー2017-2018
シンガー・ソングライター森山良子の公演。デビュー51年目のツアーで軽井沢大賀ホールにやってくる。
- 期間:10月29日(日)16:00~
- 場所:大賀ホール
- 料金:5,500円~
- 問合せ:03-5720-9999(ホットスタッフ・プロモーション)
5.カモシカに出会うトレッキング
野生のニホンカモシカを観察するツアー。浅間山の山腹に広がる「カモシカ平」を目指す。
- 期間:9月24日・30日・10月1日・15日・22日
- 場所:天狗温泉浅間山荘(8時30分集合・16時解散)
- 料金:18,000円
- 問合せ:0267-45-7777(ピッキオ)
6.サケテラス
信州佐久地域13の酒蔵のひやおろしが揃い、飲み比べや試飲ができる。屋外では「酒粕足浴」も実施。
- 期間:9月9日〜10月9日
- 場所:星野エリア
- 問合せ:0267-45-5853
軽井沢びと 〜 軽井沢に魅せられた人のライフスタイル
軽井沢で素敵な別荘ライフや移住ライフを過ごしている方をご紹介する本コーナー。今回は軽井沢の別荘でサロンを開催している市川吉恵さんです。
アイデアと工夫で家事に追われない快適別荘ライフ
元祖サロネーゼとしてメディアでもおなじみのマダム市川こと市川吉恵さん。都内の自宅を中心に「おしゃれな暮らし方サロン」を主宰し、収納やハウスキーピング、遊び心とアイデアあふれる気軽なおもてなし術などを提案している。1997年から始めたサロンには全国各地から多くの女性たちが参加し、これまで受講した生徒数は2万人に及ぶ。今年から素敵な年を重ね方を考える「ナイスエイジング」のサロンも加わり熟年層に人気に。
毎年春から秋にかけて軽井沢を訪れ、千ヶ滝にある別荘でもサロンを開催。木々に囲まれた別荘でのおもてなしは、東京で行うサロンとは一味もふた味も違うと市川さん。
「特に東京からお越しになるお客さまには、軽井沢ならではのおもてなし術をお出しするように心がけています」
そのアイデアに満ちた別荘ライフにも注目したい。
「せっかく別荘に来ているのだから、面倒な家事から解放されたい」という別荘マダムの願望を、さまざまなテクニックで市川さんは叶えている。
汚れにくい収納術や日常の動作の中で簡単にできる掃除や、ポイントを絞ったクイッククリーニングで、時間や手間をかけずに別荘をきれいに保っている。また市販のものを上手に使ったおもてなし料理も、別荘を訪れる人に人気だ。
「大事なツボだけ押さえて、細かいところは目をつぶる。『七割満足なら大満足』と思っているんです。軽井沢は自分らしく自然体でいられる場所。娘が初めて歩いたり、自転車に乗れるようになったり、家族にとっても節目となる思い出が軽井沢にあります」
軽井沢の別荘ライフは市川さんにとって大切なひと時となっている。