暮らし術 SetsukoTruong01-1200x447

はじめまして、オーストラリア在住のライター・Setsuko Truongです。
もうオーストラリアを40年以上見てきましたが、最近のこの地の大きな変化は、富裕層が移住してくるケースが増えていることです。本連載ではそういった富裕層たちが気にしている、ハイエンドなオーストラリアの情報をお届けしていきます。
今回は初回ということで、オーストラリアの多文化事情にも触れつつ、在住メルボルンの魅力でもある「エスニック街」のワンランク上のレストランをご紹介します。

 

オーストラリアの多文化事情

2016年のオーストラリア国勢調査によると、オーストラリアの国民の内、33%は生まれた場所が海外で、オーストラリア国内で話されている言語は300以上にものぼるとのことです。これだけ多くの民族が住んでいると、生活の文化のギャップが大きいようにも思えます。ところが実際には、多文化主義のおかげで民族間の軋轢はほとんどなく、人権が守られた住みやすい国になっています。
民族の中で、比較的早い時期に移住したのが中国人、イタリア人、ギリシャ人でした。中国人は1850年代のゴールドラッシュのときに労働力として雇われた人たちがそのまま残りました。イタリア人とギリシャ人は1900年代、白豪主義を取っていた当時のオーストラリア政府が人口を増やすために移民として受け入れた人々です。
こうした民族はそれぞれ自分たちの街を築きました。中華街は世界各地にありますが、メルボルンにはイタリア街とギリシャ街もあります。また、エスニック街を持たない民族も各地にレストランを作っているので、オーストラリアでは世界中の料理が食べられるといっても過言ではないのです。
 

いつもにぎやかな中華街

図1

メルボルンの中国街は「リトル・バーク通り(Little Bourke Street)」にあります。通りの名前になる「リトル」が示すように、通りは狭く、横浜の中華街に比べると規模はずっと小さいです。約400mの区間に中国式の門が4つ立っているので、見ればすぐわかるでしょう。赤いランタンが建物に沿って並び、中国的な雰囲気が漂います。中華街は昼・夜に関わらずいつもにぎやかで人の行き来が絶えません。

Flower Drum

図2

メルボルンの中華街は、昔はもちろん中華料理店ばかりが並んでいましたが、今では日本料理店なども参入しており、中華街の顔も変わってきています。それでも、やはり一流の中華料理を食べたければ中華街に行くのが一番です。
その中でも特に注目すべきは、1975年創設の広東料理店「フラワードラム(Flower Drum)」でしょう。これまで幾度もベストレストランコンテストで入選しており、メルボルンのトップ中華料理店としてその名声を馳せてきました。

写真提供:Flower Drum

写真提供:Flower Drum

フラーワードラムが高く評価さるのは、もちろん料理のレベルが高いことですが、それだけでなく、ダイニングの環境が素晴らしいことも評価されています。
まずはインテリア。店内に敷き詰められた赤の絨緞、それと対照的な黒褐色の椅子、そしてテーブルに架けられた白いテーブルクロス。この3つの色が見事にマッチし優雅なムードを造り出しています。さらに、広めに取られたテーブル間のスペースのおかげで、周りの人の話声に悩まされることがありません。静かな雰囲気中で伝統的な中華料理を楽しむことができるのです。
写真はフラワードラムのシグネチャー料理のひとつ「マネーパウチ(巾着)」。えび、スキャロップ、シイタケ、ウォーターチェストナットをクレープで包んで蒸した逸品です。

図4

オーストラリアのトップレストランを紹介する「Good Food Guide 2018」では2つ”帽”(ちなみにメルボルンのレストランで3つ帽をもらったのは1軒、2つ帽は19軒のみです)をもらい、評価の中に「他では見つけられない光り輝く中国ランタンのようなレストラン」というコメントが添えられています。フラワードラムで食事をするためには、少なくとも3カ月前からの予約が必要です。

 

イタリアの雰囲気がそのまま伝わるイタリア街

図5

オーストラリアのイタリア街として唯一名前の知られているのが、メルボルンの「ライゴン通り(Lygon Street)」にあるイタリア街。ライゴン通りといえばイタリア街のことをさすほどです。
このエスニック街の一番の特徴はテラス席。レストランの前に作られたテラスに日よけ用の傘が並びます。また、レストランの他にもイタリアのケーキショップやジェラートショップもあり、ここにいるだけでイタリアに行ったような気分に。昼間に行くのもいいですが、夜に行けばお客を呼び込むイタリア人独特の元気な声が響きわたり、ムード満点です。

Il Cantuccio

図6

イタリア街のレストランは甲乙の差を付けるのが難しいほど、どこでもおいしい料理を楽しめます。その中でもいくつかのレストランレビューで高い評価をもらっているのが「イル・カンツーチョ(Il Cantuccio)」です。
料理のおいしさはもちろんのこと、店内の雰囲気とサービスが高く評価されています。食事は室内でも良いですが、天気が良ければぜひ屋外のテラス席を取ってみてください。営業はディナーのみです。

400Gradi

もう一つご紹介したいのが、実際のイタリア街からは少し離れますが、同じライゴン通りにあるピザレストラン「400グラディ(400Gradi)」。このレストランは、2014年にイタリアで行われた600人参加のピザコンテストで1位を獲得した名店なのです。薪を使った高温のオーブンで短時間に焼き上げるナポリ風ピザが名物です。

写真提供:400Gradi

写真提供:400Gradi

また、イタリア街に行くときには「ノーバ(Nova)」で映画を楽しむ時間を取っておくと良いかもしれません。この映画館は、エスニック映画や中・高年者向けの上質映画を上映しており、日本の映画も時々上映されます。こぢんまりとした、それでいてエレガントな劇場でゆっくりとした時間が過ごせます。

 

3つのエスニック街では一番小さいギリシャ街

図9

ギリシャ街は、メルボルン市内の「ローンズデイル通り(Lonsdale Street)」にあり、通りの片側のみなので中華街やイタリア街と比べるとそれほど大きくはありません。ギリシャ街もイタリア街と同じようにテラス席がアレンジされており、テラス席の飾りはギリシャの黒と白の文様で統一されています。
メルボルンの中心街からギリシャ街に向かうと、写真のような石碑に出会います。ここがギリシャ街のスタート地点です。石碑には「メルボルン、テッサロニキ姉妹都市」の文字。その下にテッサロニキ出身のセント・ディミトリオスの絵が彫られ、その裏には同じくテッサロニキ出身のアレキサンダー大王の絵が彫り込まれています。

Press Club Restaurant

図10
さて、ギリシャ街のレストランも人気がありますが、高級レストランとして評価されているギリシャ料理店はギリシャ街から10分ほど歩いた「フリンダース通り(Flinders Street)」にある「プレスクラブレストラン(Press Club Restaurant)」です。このレストランのオーナーは、タレントシェフのジョージ・カロンバリス。料理コンテストのテレビ番組「マスターシェフ」の審査員の一人でもあります。昔の新聞社の報道陣室(プレスクラブ)を改築して作られたためその名前をそのまま残しています。

写真提供:Press Club Restaurant

写真提供:Press Club Restaurant

店に入ると目に飛び込んでくるのは、ゴールド色で統一された華やかな照明とベージュ色のボックス席。ゆったりとしたソファーに座ると、にこやかにほほ笑むフレンドリーなスタッフがメニューを持ってきてくれます。ワインメニューには国内外のワインやウイスキー、その他カクテル類が満載です。
人気があるのが5〜8コースからなる「おまかせメニュー」。どれもギリシャ料理の特徴を活かした創作料理で、美しい盛り付けとゴージャスな味付け、そしておいしいワインがすばらしい食事を演出してくれます。

図12

プレスクラブレストランはこの建物の1階にあります。建物の上にある「HERALD」という文字は、以前この建物が新聞社「ヘラルド&ウィークリータイムズ(Herald & Weekly Times)」のものであったことを物語っています。1920年代に建てられたもので、今ではビクトリア州の文化遺産に登録されています。

 

◆ ◆ ◆

メルボルンには、今回ご紹介した4つのレストラン以外にも、タイ料理、ベトナム料理、フランス料理、メキシコ料理、インド料理など数多くのエスニック料理店があります(そしてもちろん日本料理店も)。ひとつの街にいながら世界中の料理が楽しめるメルボルンは、まさにコスモポリタン。食を大事にするハイクラスの方々にふさわしい都市と言えるのではないでしょうか。
後編ではオーストラリアのユニークなレストランとして、ゴールドコーストのグルメを含めた他のエリアのレストランをご紹介したいと思います。

 

※本記事は、Setsuko Truong氏の知識と経験にもとづくもので、わかりやすく丁寧なご説明を心がけておりますが、内容について東急リゾートが保証するものではございません。
※本記事の情報は、公開当時のものです。以降に内容が変更される場合があります。
物件選びチェックリスト 無料eBookをダウンロード